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僧侶に対する愛国主義教育を強化 対立深める可能性も 中国 (1/2ページ)
このニュースのトピックス:紛争・クーデター・革命
【北京=矢板明夫】中国当局が3月中旬のチベット騒乱以後、チベット仏教を中心に各宗教団体の聖職者らに対して、共産党大会の文献学習会など愛国主義教育を強化し始めた。騒乱が他の地方に拡大することを未然に防ぐことが狙いだが、当局のやりかたは逆に僧侶らの宗教意識を刺激し、政府との対立を深める可能性もある。
「蘭州日報」(25日付電子版)などによると、甘粛省内のチベット仏教の僧侶ら約300人が24日、同省蘭州市内のホテルに集められ、ダライ・ラマ14世への批判が行われたほか、北京五輪関連のビデオが上映された。政府からは「党と政府との歩調を常に一致させること」などが要求されたという。同様の研修会や学習会はこのほかに青海省や四川省でも行われた。
23日にラサ入りした孟建柱公安相は「寺院への愛国主義教育を深化させなければならない」と強調、徹底した愛国キャンペーンを始める考えを表明していた。
中国チベット学研究センター宗教研究所の鄭堆所長によると、中国ではチベット仏教の僧侶らに対する愛国主義教育は1990年代になってから始まった。
その目的は、ダライ集団による僧侶への影響力を排除することにあり、実態は「共産党に服従する指導に他ならない」(関係者)と指摘される。