聖魔伝説5<伝説編> 祈り
第11章 ――舞い降りた少女――
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イメージ曲 【聖魔】【ひとひら】
リット・チャットの魔女【外伝】
更新 2008.04.01
「ギルファニート・アル・セルリアードを解任する」
早朝。
軍議のため集まった重臣たちに、その最初に、ケルトが告げた。
あまりにも突然のことに、誰もが耳を疑った。
がたっと音を立て、立ち上がった者がいる。セルリアードだ。滅多に表情を見せない彼も、さすがに顔色を失っていた。
そのセルリアード当人ではなく、重臣の一人が、なぜと、声を漏らした。
互いに、互いを後ろ盾としてきたはずの王と宰相だ。
「彼の妻であり、宮廷魔道師でもあるサリディア・メルセフォリアが拉致された」
本当かと、議場がざわめいた。事の真偽を測ろうとするように、多くの視線が、セルリアードとケルトを交互に見た。
ケルトは決然と、真っ直ぐな瞳でセルリアードを見ていて、口調も落ち着いていた。
対し、不意を打たれたセルリアードは、その美貌をわずかに強張らせ、言葉を失っていた。
「どんな事情があったとしても、敵国との内通、許されないことだ。――エイナス卿」
「――はっ」
ケルトはあえて、セルリアードがスィールから通達を受けていた事実を、内通と呼んだ。
「密告を受け、これらの事実の裏を取ろうとなさっていたと、聞いている」
「……は、はいっ……」
「それが、卿の誠実な行為であることを、認めたい。ただし、その密告をしたのがスィールだと、卿は知らなかったね。――皆にも、ここまで言えば、何が画策されているか想像がつくと思う。敵は人質を取り、セルリアードに僕の暗殺を要求した。その一方で、彼がその要求を呑んだものとして、密告した」
魔道師長セッグが静かに首肯した。
コルベールと協力し、密告者の素性と、リーゼン伯、エイナス卿の動きとを探り、ケルトに報告したのがセッグだ。とはいえ、ケルトがここまで思い切った公表に出るとは、そのセッグも予想だにしなかった。
「スィールによる、こちらを混乱させる画策と見て間違いないだろう。皆、忘れないで欲しい。わかっていることは、セルリアードの妻がスィールの捕虜とされたこと、これだけだ。他の情報は、スィールに操作されている可能性が高い」
ケルトは一呼吸置き、話を続けた。
「セルリアードがスィールに何を指図され、どこまで従っていたか、推測で糾弾するようなことは許さない。ただし、僕自身はセルリアードを信じられるが、スィールに人質を取られた者を、皆にこれまで同様信じろと言うのは、無茶だろうね。混乱を避けるためにも、彼は解任する。代わりに、皆には僕が生きてここにいること、彼がアルンの優勢に大きく貢献してきたことを思い出し、この件に関し彼の罪を問わないこと、嫌疑をかけないことを容認してもらいたい。――容認できない者は、この場で、異議を」
議場は、水を打ったように静かだ。
いつ、己が身に降りかかるかもしれない災いだ。筋の通ったケルトの主張に、皆の前で異議を唱えようとする者は、いなかった。
唯一、到底容認できない顔をしていたセルリアードが、色をなくしたこぶしを握り、宰相の徽章をむしり取るようにして、大理石の机上に打ち捨てた。
「――セルリアード殿、無礼な! 陛下のお心遣いがおわかりにならないのか!」
列席者の一人が声を上げるも、ケルトが制した。
サリディアを失う覚悟さえして、彼自身の全てを犠牲に、務めを果たしてきたセルリアードだ。
一方的な解任を受け、なお冷静に退室するには、我慢しすぎてきたのだ。
怒りと痛みをはらんだ蒼の瞳が、ケルトを見た。セルリアードがものも言わず退室すると、ケルトは小さく息を吐き、寂しさと、覚悟を映した瞳で前を見た。
一人だ。
初めての、孤独な闘いだった。理解し、導いてくれる者はもういない。自ら招いたそれを、しかし、ケルトは厭わなかった。
*
任を解かれたセルリアードは、その足で、宰相として与えられていた個室に向かった。
片付けるためと、混乱する思考をまとめるためだった。
冷静ではない自覚があった。
これからどうするべきなのか、判断がつかない。時間はない。
信頼できる相談相手に、セルリアードはフェルディナント公子を選び、通信用のゲートを開いていた。半ば、無意識に。
「――行かれたらいい。今のあなたに、アルンを護る
術はどれほども残されていないはずです。解任された以上、その義務もありませんしね」
「ですが……」
自身が何を望んでいるかは知っていた。守りたいもの、失いたくないと切に願うもの。それは、サリディアだ。
けれど、彼自身の都合、彼自身の望みを優先することが、許されるのか。彼の命は贖罪のため、そのために、
存えたものだ。
――独りだった頃は、迷わなかった。
死と隣合わせの選択さえも、なすかなさないか、それだけだった。
選択肢などなく、行けるただ一つの道を行くような、迷いとは無縁の生き方をしていた。
けれど、今――
彼の進退は、決して、彼一人のものではなくなっている。
彼を信じ、その命運さえ、彼に預けてしまう人々がいるのだ。
彼自身、幾度も、その命運を他人に預け、救い上げられてきた。
「私が国を空けて、問題ないと、思われますか……?」
「あったでしょうね」
公子は過去形で肯定した。
「ですが、もう後戻りはききません。王が貴方から取り上げたのは、何より、上に立つに必要な信頼です。今の貴方を、信頼できる臣民がどれほどいますか」
「……」
「王が、あなたに代わって一切を背負ってくれると言うのなら、素直に感謝して、したいことをなさればいい。王は、あなたがもう限界だと、見抜かれたのですから――良い主君を持ちましたね」
公子は、本当は気付いていた。王が見抜いた限界は、彼の宰相としてのものではなく、人間としてのものだ。それはあまり、立場上優先すべきことではないかもしれない。けれど、わずかな可能性の差のために、そこまで自身を犠牲にする必要は、ないはずだと思う。国柄の違いもあった。ラルスでは、身分の高い者ほど自由だ。公子ともなれば、己以外の何ものにも束縛されない証に、名は唯一つ。
一方、アルン王家はその対極で、大事ある時には身を呈して国を護ってきたという。もともと精霊使いの一族なのだ。現国王はアルン・トルディナース・セラン・デ・ティティケルト。国を護り、家を守り、父兄を敬い、しきたりに従う。最後に、自分。
ラルス公家とどちらが良いとは言わないものの、アルン王家の精霊使いの血も、絶えて久しい。王家の姿勢も、ある程度は変化して行っていいのではと、公子は思う。
納得したのか、セルリアードは素直に礼を述べた。
「リシェーヌさんと代わりましょうか?」
「――ええ、お願いします」
*
「つらいことはない?」
「はい、兄さん」
交わす言葉は少なでも、二人は互いに微笑み合った。よく似た兄妹は、意思の疎通にさほど、言葉を必要としない。
「公子も皆も、よくしてくださいます。親切で、思慮深い方々で――」
「そう。それなら、良かった」
ゲート越しのセルリアードの声に、リシェーヌはふと、不吉な優しさを覚えたようだった。
「……あの……戦が終わったら、サリサと、こちらへ遊びに来てもらえませんか? とても、優しくて美しい国なんです。昔みたいに、一緒に――」
「いいね」
サリディアと、リシェーヌと、公子も一緒だろうか? 野山を散策するのは悪くない。
「楽しみに――していよう――」
セルリアードは再度、公子への取り次ぎを頼み、公子に改めて、リシェーヌのことを頼んだ。サリディアのことを、決着するまで伏せて欲しいとも伝えた。
承諾した公子が、断りを入れるように、告げた。
「リシェーヌさん、あなたやサリディアさんがいなくて、ふいに、つらくなることがあるようです。時折、寂しそうに瞳を伏せていらして――あなたを待っています。必ず、無事に戻ってきて下さい」
「――」
全てを終えて、穏やかな風の中、優しい故郷で笑い合う。
望む場所は、ひどく遠かったけれど。
「――ええ」
彼もまた、覚悟を決めていた。
「必ず、戻ります。サリディアを連れて――」
T
「俺も行くぜ」
不敵に笑って言ったのは、ディテイルだ。機材の調整を終え、ラーテムズが発とうとした時だった。
「ん? 行くと言っても、どこへまた? だいたい、男同士で行動したんじゃ、むさ苦しいだろう」
貴族的な風貌で、物腰も柔らか、むさ苦しさとはかけ離れたラーテムズがぬけぬけと言う。
「とぼけても無駄だぜ、ラーテムズさん。一人でラルスに行く気だろ? 悪いけど、博士との話、立ち聞きしてたんだ」
昨夜、ラーテムズがスィールから戻るやいなや、アルン、ラルスの両国にスィールの策略を報告したのを、ディテイルは立ち聞きした。
リシェーヌの身が危ないならセルリアードにも報告をと言う博士に、そんなことをしたらセルリアードがいよいよお嬢様を助けに行かなくなりますねと、よしましょうと、ここでもラーテムズはぬけぬけと言ってのけた。
ただ者ではない。
何って、良心の呵責とか、人としての道徳心とか、そういうものの不在さ加減。
「ラーテムズさん一人で行ったって無駄だぜ。ラーテムズさんに、戦場でできることなんてほとんどないんだから」
「ったく、何だおまえ、ぶしつけに無能宣言か? 最近、セルリアードに似てきたんじゃないか、失敬な」
ディテイルがくつくつと笑う。
「人の食い方はラーテムズさん直伝だって。ここのことはピートに頼んどいた、大丈夫だよ」
意外な配慮を見せるディテイルに、ラーテムズは軽く息を吐くと、まあ、来たいなら来いと承諾した。
「仕方ない、ただし、来るなら、おまえと私の命はおまえが守れよ。私は頭脳労働専門なんだ。同行者の身の安全なんて保障できないからな」
「了解!」
誰も頼みはしない。だとしても、ラルスへ行くのだ。里帰りも兼ねた、観光に――
U
―― リン ――
軽く目を伏せて、刀身に宿る精霊の気配を感じ取る。
かつて支配したこともないほどの、測り知れない力。
「――……」
透き通るその刀身を一振りし、セルリアードは改めて、その存在を確かめた。
聖魔に力を解放されたティストラーゼは、文字通り、祭具の名を冠するにふさわしい魔剣となっていた。
冷たく温かく、所詮石でしかないための沈黙と、同時に精霊の結晶であるがゆえの命の脈動。魔力を呑み、また放つ鏡面構造。ありとあらゆる相反する波動を宿している。
『世界』そのもののようだった。
マーディラはこれを祭具と呼んだ。
どう扱えばいいのか。人の身に、少なくとも、神の祝福を受けない人の身には、支配できるものとも思われなかった。――到底、頭でとらえきれるものではない。――心では?
マーディラは共鳴しろと言った。
どんなに小さくとも、ささやかでも、彼自身が世界のひとかけなのだ。
滝を前にして、セルリアードは静かにその刀を構えて立つと、精霊の気配に心を合わせるようにして、刀を一閃させた。
ザンッ!
真っ二つに、轟然と叩きつける流水が割れ、岩壁さえもが、いくばくか砕けた。
セルリアードは目を見張り、くらりとして、束の間、よろめいた。
聖魔の忠告通り、魔剣は、使い手の魔力を根こそぎ喰い尽くす代物だった。否、いくらでも呑んでしまう魔剣に、彼自身が呑ませてしまった。
制御が難しい。
グラスの水をあけるように、あまりにもたやすく魔力が呑まれる。そうして呑まれた魔力は、取り返しがつかない。
闘いの中、我を忘れて振るえば己も地も滅ぼす、神代の魔剣。封印されるべくしてされてきたのだと、思い知った。
「……ティラ?」
小さな気配を感じて振り向くと、少し離れた場所に、目を丸くしたティラが立っていた。
気付かれたティラはびくっとして退きかけ、けれど、思い直したように踏み止まった。
「セルリアード……おれ、おまえに言いたいことがあって……」
「何だ?」
ティラが、決まり悪げに視線を逸らす。
「ちびが……ポリアとエルシアがさ、泣くんだよ。お姉ちゃん、返してって……なんか、つらい……」
あの時、黙って見ていたらいけないと、サリサを助けないといけないと、思ってしまったんだと。身の程知らずだったこと、後悔しても、遅かった。
「おれも、おまえに同じことしたんだ。おれ、許してやるなんて言ったけど……今は本当に、そう思うよ。おまえ、できることしてたのに――できないことしろって責めて、許してやれなくて……ごめん。ガキだな、おれ」
うつむいた少年の髪に、セルリアードが軽く手をかけた。
「ティラ、私は過失で人を
殺めてきたわけじゃない。許されないのは報いだ」
「……」
手頃な岩に登って、しばらくセルリアードを見ていたティラが、やがて、かぶりをふった。
「むずかしいけど、おれ、少しわかったことがあるんだ。セルリアード、サリサが、おれを助けて悪い奴仕留め損なったのは、過失?」
それはと、答えかけ、けれど、セルリアードは難しい顔をして、言葉を呑み込んだ。
「おまえはさ、おまえだったら、違ったんじゃないかって――悪い奴、やっつけたんじゃないかって、思うんだ。――おまえ、そうやって、アルバレンとか、呼ばれるようになったんじゃないの」
「――……」
「ラルフが言ってた。おまえの目、悪い奴なんかの目じゃなかったって。必死なガキの目してたって。おれ、あの時は、意味わかんなかったんだ。でも、今は少し、わかるよ。おれ、サリサが助けてくれたおかげで、生きてて――だけど、サリサはきっと、馬鹿なガキはほっといて、悪い奴をやっつけないといけなかったんだ。だって、今もまだ、たくさんの人があいつに苦しめられてる。サリサだって、いつ、殺されるかわかんないでさ。おれ一人の命と秤になんて、かけられっこなかったこと、それくらい、おれにだって、わかるんだ」
セルリアードはただ、静かに聞いていた。
「おれ、おれだったらって、考えてみた。とっさに、守らなきゃいけないポリアやエルシア、目の前で死なせてみんなを救うなんて、そんなの――やっぱり、その場では、考えられなかったと思う。逆だって、難しいよ。――おれ、馬鹿みたいに立ち竦んで、何も守れずに殺された気がする。だから、おまえもサリサも、選んだだけ、偉いと思うんだ。みんな気付かないけど、選ぶって、大変なんだ。選ばれなかった方を、見捨てるってことなんだ。それって、おかしいんだけどさ。悪いのはサリサじゃない。みんなを殺しにきた奴が、悪いんだ。サリサは一生懸命、守ってくれたよ」
静かに頷いたセルリアードが、ぽんぽんと、ティラの頭を叩いた。
「……そういう、子供あつかい……」
セルリアードの装束のひだを、ティラはきゅっと握り締め、ぷいと、顔を背けた。
「た、たまには、していいけどなっ」
くすっと笑われて、ダッシュで逃げようとしたティラの肩を、セルリアードがつかんだ。
「割合、大人の意見だったな」
「えっ……」
「ポリアとエルシアには、私から言っておく」
驚いて、それでも、ティラは虚勢を張った。
「お、おう! おまえが言ったら、女子供には鶴の一声だ、よろしく頼むぞ!」
セルリアードが優雅に微笑んで、請け合ったりするから。
ティラは不覚にも、内心、かっこいいなと思ってしまった。
「サリディアは取り返しに行く。おまえはもう、気にしなくていい。十分、反省したようだし」
「〜……! したよ! 悪かったよ!」
「ティラ」
「……何?」
折しもの突風に、セルリアードの銀の髪が、光を乱反射してきらめきながら、舞い流れた。
「私に何があっても、背負い込むなよ」
「……え……」
時に冷酷にさえ見える蒼の瞳が、今は優しく彼を見ていて、印象に残った。
V
ファスティーヌと
精霊司以下数名が
妖精族の集落に到着してから、半刻ほどが過ぎていた。
「いったい、いつまで待たされるのでしょうな……。会合の結論とやら」
「さあな――」
こと、ファスティーヌの保護に関しては、エルフたちは協力的だった。しかし、ディルアードの素性に関しては、どうしてなのか、頑なに口を閉ざした。
「不可解ですな」
森はひどく荒らされていた。それはそのまま、エルフの犠牲の多さを物語る。エルフの多くは元来精霊であり、『本体』が別にある。それは例えば神木であったり、霊石であったり、あるいは泉であったりするのだが。その『本体』が失われれば、そこに宿るエルフもまた、落命するのだ。
その生命の森を、こうまで荒らされながら、宿敵であろう魔族について、語ろうとしないのは、なぜなのか――
*
「この上は、真実を話すべきではありませんか」
まだ若いエルフの言葉に、白く長い髭を蓄えた長老が、首を横にふった。
「話せば、必ず、あの子も知ることになろうて」
「ですが――」
「この十五年間、この日のために、隠し続けてきたことぞ。今こそ、天魔の手から、あの子を護らねばならぬ。知らせても、あの子を無為に苦しめよう」
「――お言葉ですが」
若者は引かなかった。
「ファスティーヌにも、知る権利はあるはずです。知らされなかったために、あの子は、それが何を招くか知らぬまま、あの日、天魔に相対してしまった。もう、相対してしまったではありませんか。呪われた天魔が、いつまで真実に気付かぬままいると――隠しおおせるとでも、お思いなのですか。もし、天魔が何も知らぬあの子を連れに来たなら、何とします――」
長老がぬぅと、白い眉を顰めた。
「ロイアス、あやつがどう、気付くと思うておる。よいか、秘密は我らの口から漏れ、いつか、あやつの耳にも届こうぞ。つまるところ、我らが口を割らぬ限りは、秘密は秘密のまま、守られるのじゃ」
「――ですが、長老」
湖面のようなアクア・マリンの髪を波打たせたエルフが、若者の後を継いで、進言した。
「私たちは、血のつながり以上のものを、あの子に教えてきたはずです。あの日、セファーネを信じず、真実を秘匿したために、天魔が覚醒したと――私たちこそが、引き金を引いてしまったと、思われませんか。真実を奪われたあの者は、より残酷な世界を、認識してしまった。その過ちから目を逸らし、繰り返せば、世界さえ滅びましょう。天魔は、世界を滅ぼすために存在するもの。――闇に侵された世界を、救うために、天魔は覚醒するもの」
その最後の言葉に鳥肌が立ったのは、長老だけではなかったろう。
失われた祭具。
呼び覚まされた天魔。
世界が滅びに向かっていることを、運命の輪が止まろうとしていることを、知らしめるかのように、終焉の鐘が鳴り響く。
「ならば――」
苦渋に満ちた声で、長老が口を開いた。
「まだ十五のあの子に、おまえこそが、忌まわしき天魔の子じゃと、おまえは禁忌の血の子じゃと、教えよと、そなたらは言うのじゃな。天魔が、地を血に染めておるこの時に――」
重苦しい沈黙が、会合の場に落ちた。
W
セルリアードが手にした紙片から、青白い炎が立ち、紙片は一握りの灰になった。
サリディアの獄中死を待つようだったディルアードからの、打診だった。
今夜、サリディアの息の根を止めると――
余興のつもりか。
世界を滅ぼそうという天魔が何の酔狂で、皇帝の座に就いたり、彼に絡んだりしたのか。
けれど、聖魔の覚醒を目の当たりにしたディルアードが、些事を片付けにかかったのは、間違いない。
高魔族の、それも天魔の暗殺を試みる。
暗殺者だ、死神だと呼ばれても、文字通りの暗殺は、師のアドラ以来だった。
カンは鈍っていまいが、二度目の標的が天魔かと思うと、不思議に、笑みがこぼれた。
このための、闇だったなら。
このための、八年間だったなら。
彼の手にかかった魂も、幾らかは、救われようと思う。たとえ、許されることはないとしても。
死は、厭わない。
たとえ相討ちになったとしても、天魔による殺戮を阻止できるのなら、本望だ。命はサリディアを救うまで、つなげればいい――
それが難しいことは承知の上で、セルリアードは真っ直ぐに、高い天を仰いだ。
*
カツ、カツ――
冷たい靴音を響かせ、ディルアードはあえて一人きり、城内を歩いていた。
城内に何者かが侵入、その報せあってから、一刻ほど経つ。
頃合だなと、玉座を立った。
玉座から地下牢まで、半刻ほどの距離がある。これだけ誘ってやって、もし、侵入者が止めに入らない時には――
酷薄な笑みを湛え、耳にかかった髪をかきあげる。その髪が、緩く波打つのに気付いくと、ディルアードはわずか、眉を顰めた。
まだ、黒檀の色だ。これ以上の侵食を、許しはしない。
何の復讐も、未だ、遂げてはいないのだから。
幾つかのことを確かめた後、滅ぼすのだ。この地獄、呪われた大地を――
*
地下牢に通じる城内の死角に、セルリアードは潜んだ。
その命運をかけ、
皇帝に挑む。その前に、サリディアを救い出したいと、思わないわけではなかった。
しかし、サリディアを捕らえている真珠色の腕輪は、彼自身が見たその片割れと、博士の話から推し量るに、皇帝が呪術で、身の一部から生み出したものだ。
サリディアを救いに行けば、皇帝がそれと知覚する恐れがあった。それはそのまま、彼女を盾にされることを意味する。
まだしも、サリディアが動ける状態ならば、おとなしく盾にされる少女ではないが、彼女は今、生死の境をさまよっている。
皇帝の暗殺から、片付けるしかなかった。
カツ――
硬い靴音が、通路に響いた。
皇帝は一人きりだった。
――誘っている、か――
皇帝が、あからさまに誘うようでは、不意打ちの目は、そう、高くはない。
セルリアードは意を決し、神経を研ぎ澄ませると、床を蹴った。
シュッ――
振り向きざま、薄笑みを浮かべた皇帝が、抜き打ちを放つべく、動いた。――速い。
しかし、その皇帝にも、セルリアードの影は捉え切れていなかった。
ザシュッ!
蒼炎の剣が深く、皇帝の首筋を切り裂いた。
キン――
眉間を狙った返す刀を、からくも止めた皇帝の剣と、
蒼炎の剣がぶつかり合い、火花を散らした。そこから、皇帝が上体をそらしながらふるった剣を、
蒼炎の剣はいともたやすく両断した。
ガカッ!
折られた剣の切っ先が、石の床に突き立った。
皇帝の左手から、赤黒の魔力弾が放たれる。
セルリアードは着地と同時にそこを蹴り、一転した。すぐ脇を魔力弾が掠めて過ぎた。放した剣を左手で受けつつ、間を置かず彼も風刃を放った。斜め後ろに跳んでそれを避けた皇帝が、呪力と威圧力を伴う鋭い眼光で、彼を射抜いた。
カッ!
皇帝の折れた剣に弾かれ、
蒼炎の剣の軌道が逸れた。いつかのように、呪縛されることこそなかったものの、皇帝の眼光に、剣との共鳴が乱れたのだ。
――まだ!
弾かれた剣の勢いを殺さず、セルリアードはそのまま、半円を描くようにして斬りつけた。
数秒は眼光だけで呪縛できるとタカを括っていた皇帝は、既に、
蒼炎の剣を弾いた体勢から、無理をしていた。
蒼炎の剣がついに、皇帝の急所をとらえた。
とっさに皇帝が刀身を握る。たいがいの剣はこれで止まる――けれど、アルンでの前例もある。実際に止めてみるまでは、皇帝自身にも、止められるかどうかわからなかった。
「――っ!」
蒼炎の剣は止まっていた。冷笑した皇帝が、至近距離からの魔力弾で、セルリアードを壁に撃ちつけた。
「縛!」
続けざまに放たれた呪が、衝撃に口許から血を滴らせたセルリアードを、そこに縛す。
その視界と呼吸が戻る頃には、すぐ側に、皇帝が立っていた。
けれど、指一本すら、もはや、彼自身の意思では動かない。
セルリアードはただ、漠然と、未来が断たれたことを感じた。
「終わりのようだな――」
皇帝が血塗れた手を顎にかけ、セルリアードを上向かせた。
鮮血に染まった、冷たい指先――
血に染まっているのは他でもない。人間なら致命傷となる深さの傷を、セルリアードに初太刀で負わされたからだ。
首筋から滴った血が、皇帝の衣装を重く染め、その様は、生きた死体を思わせる異様さだった。
「ここまで来たのだ、取り戻す機会をやろうか?」
揶揄するように、皇帝が
囁いた。
「おまえもスィールも、正直なところ、下衆一匹、地獄に落とせるならどうでも良いのだ。死者に、地獄の苦しみを味わわせることができるならな――」
なお滴る血の色が、どういうわけか、皇帝の妖艶さを際立たせていた。
――誰かに似ている?
冷酷で妖しく、不可解な――
「おまえに、私が納得できる答えを返せたなら、望むもの全て、おまえ自身も解放してやろう。――悪い話ではあるまい」
そう前置く、皇帝の狂気じみた目を、セルリアードは知っているような気がした。
「私の興味は一つ、愚かな忌々しい下衆に――欲しいものと言えば、富、権力、名声、女――それらを得るためなら、手段を選ばぬ、救いようもなく、低俗で貪欲な下衆に、どう、死すらも凌ぐ苦痛を与えられるかだ。下衆め、愚鈍でありながら、他人の幸福にだけは鼻が利く――他人が護るものばかり欲しがり、誇りもなく、愛する者もいない――あの下衆に、己が命より大切なものなど、何一つないのだ……!」
皇帝の、ドス黒い憎悪は、彼にとっては間違いなく、既知のものだった。
幾度となく、向けられた――復讐に狂った哀しい眼光。
譲れないのだ。
彼らにとって、たとえ得るものなどなくとも、復讐は無意味ではない。それを遂げるまでは、過去の呪縛が、やり直すことすら許さない。
「――八つ裂きにしても、足りないのか? もとより幸福を知らない者から、それを奪うことなど、できないだろうな――」
忌々しげに、皇帝が顔を歪めた。
未来が断たれたことを受け入れたゆえか、セルリアードはかえって冷静だった。思い当たる節があり、淡々と、尋ねた。
「宰相か」
「――だとしたら?」
なぜ、愚かとも思えない皇帝が、あの男を宰相にしたのか、この妄執を見るまでわからなかった。
「あれは、己の作り上げた平易な上辺だけの世界に生きる者だろう――世界から何も得ない以上、喪失の苦しみも、わからない」
憎悪の対象でしかない、崩壊させたいものの支配を、その象徴たる者に任せていたのだ。
大切な、愛するものの守護を、信頼する者に任せる、その真逆のように。
少し、胸が痛んだ。
もう、助けてやれない――
「……ク、その通りだな。だが――そんなことは、むしろ私にしてみれば、否定したいことだとは思わんか?」
斜に、セルリアードが皇帝を見た。
*
その蒼の双眸が、
皇帝には、心の奥底まで見透かしかねない瞳に見えた。
それに見入られ、怯んだ。
復讐が叶わないことを否定し、無為にとらわれ続けていることを、この様をあの男が見たなら、嘲笑うだろうことを、その瞳に見透かされ、突きつけられたように、吐き気がした。
ディルアードは顔を歪めて、血の臭いのする利き手で覆った。
「――ク、クク……」
その通り、無為だ。
この復讐は、無為だ。
あの男は死んだ。
この手で息の根を止める前に、のうのうと生き、のうのうと死んだ。
あの男の一族郎党、皆殺しにしても。
あの男の国ごと疲弊させ、滅ぼしても。
あの男は、何の痛痒も覚えまい。
一族郎党も、国も、あの男にとっては食い物でしかなかった。
食い残し同然のものを蹂躙しても、あがくほど、あの男に痛快な思いをさせるばかりだと、知りながら。
奪われ、取り戻せないものに固執し、なお求めた魂の、無様。
「――よかろう、戦は終わりだ」
ディルアードは薄笑みを浮かべ、捕えた獲物を見た。
どうあがいても、復讐など、成し得ないのなら。
――あたしが、あんたを愛すとでも思ったの!? あっははは!――
皮肉な笑いが抑えがたい。
愛して欲しいとも思わなかったけれど。
誰一人として、愛すことなどしないと思っていたあの女が。
あれほど肩入れした、唯一、愛しいらしいこの者――
自分とどれほど違うか、試してやろうと、残酷な興味が湧いた。
髪留めが外れ、肩から零れて流れる、月光を結晶にしたような、冷たく冴えた輝きが目に留まり、ディルアードはそれを取った。乱れ髪が、かえって美しい。
「――髪は自慢か?」
闇の中、光を放つような
銀髪をかき集め、ディルアードは剣の刃を、ためらいなくそこに押し当てた。
ディルアードが開いた手から、ぱさりと、銀の髪束が落ち、石の床に散った。
「――……」
カツ、と、硬く軽い靴音が響いた。
慄然とした、少女の悲鳴が夜気を引き裂く。
「陛下!」
「――カレンか」
首の傷を隠して、ディルアードは立ち上がった。
「ちょうどよい。この者を開かずの間につないでおけ」
「は……」
衣装を重く染める血の量が、多すぎる。少女の翠の瞳が、致命傷にしか見えないと、途惑っていた。
けれど、確かに人間だったら致命傷だと指摘したところで、犠牲者が増えるだけだ。セルリアードもあえては、指摘しなかった。
「あの……陛下は……?」
「鍵だ」
古びた、小さな鍵を少女に寄越し、ディルアードは冷酷に笑んだ。
「傷を処置してから行く。必要なことは私が直接尋問する。誰も入るなと伝えておけ」
X
「――いないのか、ラーテムズ!」
虚しく、サリスディーン博士の声だけが、研究所に響く。
その助手を探して私室を訪ね、博士は簡単な書置きを見つけた。
博士は沈痛に、こめかみを押さえた。
*
――ガンッ!
突然の強い衝撃が、二人の乗った移動装置を直撃した。アルンとラルスの国境地帯、深い森の中でのことだ。
「ラーテムズさん、今の――」
聞きかけて、ディテイルは絶句した。
「ちょ、気絶すんなよ! こんな簡単にっ!」
ぱっと見、外傷はない。ディテイルは乱暴にラーテムズを揺り起こした。
「う……」
どうやら、呻きが漏れた。間髪入れず、半ば怒鳴るように聞く。
「まだ動く? 逃げられるのか!?」
「あ……?」
ラーテムズはいまいち、まだ冴え切らない顔をしていたものの、とりあえず手だけは素早く動かした。
「動かない」
聞くなり扉を蹴り開け、ディテイルは荷物ごとラーテムズを引っ張り出した。
「先行って! 早く!」
既に、敵らしい数人分の人影が迫っている。ディテイルは油断なく剣を引き抜き、相手を確認した。
「敵か? 味方だったりしないか?」
ラーテムズの懸念はもっともだった。こんなところに、どうしてスィール軍がいるだろう。結局、どちらから見ても今の彼らは怪しいから、むしろ、敵ではない可能性が高い。
――が。
「わかんねえよ、そんなの! どうやって見分けろって!?」
せいぜい、追ってくるのは立派な兵、ということくらいしかわからない。
「……」
仕方なく、二人はひたすら逃げた。追手が何事か叫ぶ。
「今の何語!?」
ディテイルの質問と、ラーテムズが転んだんだかへたりこんだんだか、とにかく止まったのは、ほぼ同時だった。
「なんだ、味方……」
ディテイルの呟きを、ラーテムズの掠れる声が遮った。
「敵」
ぎょっとする。
「ちょっと……じゃあ何で止まんだよ! まさか、もう息切れしたのか!?」
「あたりまえ」
肩で息をしながら、それでも言うことだけはふざけている。さすがに突っ込んでいる余裕はなかったが。
「くそっ」
ディテイルは急いで辺りを見回し、それから、地面の途絶えた先を見下ろした。断崖になっているのだ。下は淵。緑色の水が淀んでいる。
兵数は四。
セルリアードならともかく、ディテイルではさばけない。
「飛び込んで!」
ラーテムズが泳げないことは知っている。だから、今まで走って逃げた。
けれど、どうやら振り切れない。敵は鎧を着込んでいるから、一人なら余裕で逃げ切れたのだが――
ラーテムズは無言でディテイルの指示に従った。すぐに、ディテイルも後を追う。
(確か、浮かぶだけならできたよな――)
さすがに不安は隠せない。
正確には、ラーテムズは泳ぐこともできるのだ。ただし、約十メートルで沈没する。体力切れで。
ディテイルは難なく荷物(ラーテムズ)をとらえ、そのまま引っ張って泳ぎ出した。さすがにおとなしくはしてくれるから、水難救助よりは楽だ。
ぱちゃっ
ふいに、水音がした。
水しぶきが上がるのが、見える距離だった。
――冗談!――
魔術で、崖上から狙われたのだ。そもそも、初めに魔術で乗り物ごと吹っ飛ばされたことを、失念していた。
ディテイルはとにかく全力で泳いだ。魔術による光弾は、断続的に飛来する。
「上がって!」
なんとか岸まで泳ぎ着き、ディテイルはまずラーテムズを上がらせた。その後、彼自身も上陸しようとし、悲鳴を上げて水に落ちたディテイルの手を、ラーテムズがかろうじてつかんだ。
「ディテイル!」
緑に澱んだ水に、鮮血が広がり始める。
今度こそ、ディテイルもなんとか上陸した。彼は呻きもせずに、手早く裂いた布で傷口を縛り、駆け出した。
「早く!」
「あ、ああ……」
ひどく、取り返しのつかないことをしたような気に、ラーテムズはなっていた。ディテイルが撃たれたのは足なのだ。それでも、ディテイルは走っている。
勝手についてきて、勝手に庇ってくれて、それでも、おかげでまだ、生きている。
死ぬなら死ぬで、ここまでの命だったというだけだと、ラーテムズの方は、そんな心構えでしか、なかったのに。
――本当のことを言ったら、きっと、殴られるな――
ようやく、ラーテムズも周囲に申し訳ないことをしたと、思い始めていた。
ざっ
ふいに、ディテイルが立ち止まった。
「ディテイル?」
視線の先に、一人、二人、三人――
ここまで走ってきたことだけでも、ディテイルの並ならぬ根性あって、ようやくだった。とてもではないが、戦うことなど無理だ。
――絶望的か――
「何者!」
新手の兵が誰何した。
ラーテムズは目を見張った。
「アミュレット……アミュレット・ザス・ラーテムズ! 追われている、スィール兵が潜伏していたんだ!」
*
「ディテイルさんっ」
真っ青な顔をした少女が駆け込んできたのは、彼らがラルス陣営に保護されてすぐのことだった。
「あ、カーナ」
手当ては受けたものの、傷を癒せる精霊使いが今いない、とのことで、歩くのがやっとのディテイルだ。
「リシェーヌに会いに来たんだ、リシェーヌは?」
カーナの表情が、途端に、後ろめたげに陰った。
「あの……」
「――前線、だな。聞いてきた」
カーナに代わり、出ていたラーテムズが答えた。ディテイルが手当てを受けている間に、おおよその事情は聞いてきたのだ。
この部隊は本来、アルンとの挟撃を狙う別働隊だった。それが、騎馬隊だけ、寄り道してラルス本隊の援護に向かったようなのだ。リシェーヌの結界術が、必要とされたらしい。
「騎馬隊は、リシェーヌの護衛だな」
フェルディナント公子も随行したというから、誠実では、あるのだろう。
しかし、皮肉にも、ここまで来たのは無駄足にはならないようだった。彼女の精霊魔法に、頼りたくなる事情は、わかる。かかっているのは多くの人命だ。彼女もまた、それと聞かされて断るような性格では、ないから。
だからといって、それでなくとも壊しがちな体で、慣れない環境で、本来なら数人がかりで張る結界を、彼女一人で張り続けたなら。
彼女がどうなるかは、火を見るより明らかだ。
それでも、彼女は限界まで無理をするだろう。兄妹はよく、似ているから。
また、もう一つ、気になることがあった。
遭遇したスィール兵について、隊の動きを追われて配備されたものだという。さすがに言葉を濁していたが、それはつまり、本隊を援護した後、騎馬隊がこちらに合流する前に、襲われてもおかしくないということだ。
大河と険しい山脈に囲まれた僻地にあるラルスは、戦に慣れない。
ラーテムズ自身もそうなのだが、剣など持ったこともないような人々が、ほとんどだ。
まずいなと、ラーテムズでさえ、不安を覚えた。
Y
● つづく ●
【次回予告】≪2008/04/15更新予定≫
その夜、緒戦を乗り切ったフェルディナント公子とリシェーヌは、こっそり陣営を抜け出した。
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※ 上記の外伝は若干の残酷表現・性描写を含みますため、一般公開はありません。通販での提供のみとなります。
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★ 余談 ★
外伝『天魔の萌芽』が、実は『賢者様の仲人事情』の走りです。あまりにも悲劇なのでハッピー・エンドにしてみよう! と思い立ち、書いてみてしまったのが運の尽き。何故かレオン君になってしまったディルアー(強制終了)
ひそかに自信作なのですが、悲劇OKの人限定な、とても一般公開できない惨劇ぶりなので、涙を呑んで通販のみで。
あえて、こんな悲惨な話を読むコトもない。うんその通りだ。これ読まれると、完結人気投票でのセーの首位が危うくなるし…(-ω-) ← 親馬鹿が! そっちが本音!?
物凄く稀少だと思いますが、ディルアード・ファンの方なら必見かもしれない内容です。そんな貴方は、わくわくと『通販のご案内』へGO♪(゚∀゚)b
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