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体への負担が少ない骨盤臓器脱の最新治療

取材協力:亀田総合病院 ウロギネセンター長 草西 洋医師
主任産婦人科部長 清水幸子医師

軽度の骨盤臓器脱は骨盤底筋体操で改善

骨盤臓器脱の治療法には、骨盤底筋体操、ペッサリー療法、手術の3つが挙げられる。「自覚症状も少ない軽度の方やお産の経験のある女性が発症予防として骨盤底筋体操を習慣づけて行なわれるのも有効です。また、リング状のペッサリーを挿入し、脱出している臓器を持ち上げる治療法を行う場合もあります。」と清水幸子医師は話す。しかし、やはり、「ペッサリーはあくまでも一時的な処置であり、2〜3ヵ月に1回洗浄のため来院する必要があります。通院の負担を考えても、合併症を抱え、手術が困難だという場合を除き、脱出がある場合の根本的な治療には手術をすすめます」と草西洋医師は語る。


●夕方になると下がってくるのはなぜ…?
骨盤臓器脱は、立つ、歩くなど骨盤に重力がかかる状態になると症状が出やすくなる。そのため、寝ている間はなんともないのに、夕方になると股の間に不快感が出てくるという人が多い。午前中受診するときは、もっとも症状が重いときの症状を覚えて、ピンポン玉大に脱出するなど、具体的に医師に伝えましょう。


再発率の低いメッシュ手術で治す

再発率の低いメッシュ手術で治す従来、骨盤臓器脱の手術は、脱出した子宮を摘出し、緩んだ腟を切除して縫い縮める方法が一般的だった。しかし、この方法では、組織そのものが傷ついたり、再発率が高いなどの問題があったという。現在亀田総合病院では、臓器を支える力が低下した骨盤底の緩みをメッシュで補強する術式のひとつ、TVM手術を取り入れている。

「肛門の5cmななめ後ろから針を入れ、ポリプロピレンという素材のメッシュで緩みのある箇所を補強します。目の粗いメッシュに新しい組織が埋め込まれて強い壁となり、骨盤内の臓器を支えます」と草西医師。組織と一体化するため縫合も不要で、従来の術式に比べ子宮や腟を切除する可能性が低く、体への負担が軽減、今のところ再発率も大幅に低下している。「当院では、80歳以上の患者さまも手術を受けています」と清水医師は話す。

手術時間はおよそ1時間半。翌日には歩くこともでき、入院期間も1週間ほどという。「先日、術後半年が経過した患者さまが、『手術後、病気をしていたことを忘れていた』と話していました。スポーツも積極的にこなし、毎日を楽しんでいるそうです」と草西医師は語る。


一人で悩まず、あきらめないで
一人で悩まず、あきらめないで

骨盤臓器脱は、女性泌尿器科、ウロギネセンターなどを掲げる科が専門だ。しかし、骨盤底の専門医はまだ少ない。「病院で診断がつかず、当院が行う月1回無料の電話相談にやっとの思いでかけてくる方もいます。患者さまに治る病気だということを知ってもらうと同時に、医療従事者の認識も高めていく必要があると感じています」と清水医師は話す。

スウェーデンで実施された調査によると、20〜59歳までの女性のうち、出産経験者の44%が骨盤臓器脱の症状を持っているという。日本も同様に患者は多いと見られているが、一人で悩んでいたり、年のせいとあきらめている人が多いのが現状だ。専門医に相談することがもっとも近道だが、受診に抵抗がある場合には、無料電話相談などを利用するのもいいだろう。病気を知ること、そして適切な治療を受ける一歩を踏み出すことで、その後の人生が大きく変わるのだ。


<取材協力医からのメッセージ>
草西洋医師 亀田総合病院
産婦人科顧問 ウロギネセンター長
草西 洋医師

自分自身の体のことですので、常に情報のアンテナを張り、医師の説明に納得したうえで治療を受けて欲しいと思います。また、若いうちから骨盤底への負担をかけないよう、予防に努めてください。

清水幸子医師 亀田総合病院
主任産婦人科部長
清水幸子医師

がんのように一刻を争う病気ではないので、主治医と相談し、自分の都合に合わせて治療を行うこともできます。また、いずれ起こる可能性がありますので、若い方にもこの病気を知ってもらいたいと思います。
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