 8番DHで開幕戦先発が決まった松井。打席で「集中したい」と気合を込めた(原田史郎撮影、クリックで拡大) |
【ニューヨーク=米沢秀明】右膝手術復帰後、フロリダキャンプで定位置争いをしてきたヤンキースの松井秀喜外野手が、開幕戦(31日)に8番DHで先発出場することが30日、発表された。6年連続開幕戦先発となるが、開幕戦DHは渡米後初。結婚に加えてスタメン落ち、トレード危機という公私ともに波乱、多忙なオフを乗り越えて、今季もピンストライプの強力打線の一角を勝ち取った。
前夜キャンプ地のフロリダ州タンパからNYの自宅に戻った松井はこの日、開幕前日練習に参加。Aロドリゲス、ジーターらとフリー打撃練習を行う姿は例年通りだったが、当たり前の位置にたどり着くまでの戦いが今オフは山積だった。
「いよいよ始まるなという感じ。楽しみです。決して体調(右膝)は万全というわけではないけれども、いいスタートを切れたらいいと思う。(DHは)とにかく任されたことをやるだけ。選手として現在の力を出すことだけを考えている」と松井はいつもどおりの落ち着いた口調ながら、開幕先発できる喜びをかみしめるように語った。
打順8番、DH出場の開幕は、松井自身も日本の松井ファンも満足する扱いでないことは間違いない。しかし、右膝故障と闘いながら、松井は開幕出場に間にあわせるという最低限の課題を今キャンプでやり遂げた。
「自分としては先発を勝ち取ったという感覚はない。自分のベストを尽くして選んでもらったという気持ちでいる。(気候が安定するまでは)DH出場の方が準備がうまくいくということもある」というのが、松井の6年目シーズン直前の実感だ。
早朝は気温1度にまで冷え込んだ寒風の吹くヤンキースタジアム。しかし、新婚生活も同時にスタートさせることになったホットな松井がグラウンドに姿を見せると、NYの冬将軍も攻め手を緩め、強い日差しで気温は約8度まで上がった。
若手選手の台頭の中、最終的に松井を開幕先発に選んだジラルディ新監督は「松井はプロ精神に徹した選手だから結婚したことで何か影響があるということはないと思う。10日ほどキャンプでは出遅れたが、結果的に追いついてくれた。DHとして左翼手として、それ以外の役割でも松井には十分プレーしてもらうことになる。松井の得点力は大事だし、どんな役割を背負ってもらうにせよ、ヒデキらしい数字を期待している」と、最後は松井の実績と経験に頼るかたちとなった。
隣接した新球場の建設が進んでおり、現ヤンキースタジアムでのプレーも今季が最後。新妻にささげる祝砲の大アーチが今季は何発飛び出すだろうか。
ZAKZAK 2008/03/31