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医師が危ない
みんな忙しい
2008年03月28日付・夕刊

 (5)超多忙、苦にせず

高知医療センターの手術室稼働状況 午後七時前、高知医療センター(医療C)の院内ICUでは、心臓の手術を終えたばかりの患者の体に、おびただしい数のモニターコードや管が着けられていった。脳神経外科の三倍ぐらいはあるだろうか。

 調整が終わるまで小一時間。異様に多い理由は、全身管理のためである。患者を麻酔から覚まさせ、心臓機能を回復させ、自発呼吸を導くのが当面の目標。

 言葉にすると簡単だが、これがかなり大変。縫合部分からの出血はないか、不整脈は出ないか、血圧と体温は無事戻るか。モニターや血液の数値、尿の量などで体内の状況を読み、輸血や薬の点滴で微妙なバランスを保っていく。翌日の昼ごろまで患者に付きっきりというから、脳外科とはまた質の違うきつさがある。

 主治医を任された大上賢祐医師(33)は「うちの大変さを一言で言うと、『医師が家に簡単に帰れない』ということです。今はとりあえず手術を乗り切って自分の心臓で体が動き始めただけ。手術も難しかったけど、まだこれからなんです」。

 朝から立ちっぱなし。大手術で疲れているはずなのに、まだこれから徹夜を覚悟している。

 聞けば、彼の残業時間は月百五十時間以上、時に二百時間を超えるが、「いや、僕は症例を経験しないといけないんで」と苦にしていなかった。

 大学を出て九年目。専門医の取得が当面の目標だ。前任地は大阪。「病院が多くて患者さんの取り合いだったんです。だから手術の多いここは僕にとってある意味、ありがたいんです」

 なるほど、そういう事情もあるのか。そんな話を聞いて別れたのは午前零時前。院内ICUを出ると、隣の救急ICUの暗闇からぬっと人影が現れた。

 誰かと思えば脳外科の森本雅徳部長(56)。やっぱり、働いていたのだ。「明日にならないうちに帰りますよ」と、足早に消えていった。

   ◇  ◇

 それから四日後の午後、今度は心臓の大動脈弁を人工弁に取り換える手術に立ち会った。これも術前の準備を入れると六時間近い。

 手術室の一覧表を見ると、この日の手術数は二十でフル稼働状態。入室時間はほとんど四時間までのもので、心臓外科の手術の長さは目立っていたが、さらに長い手術が一つあった。脳外科だ。朝から入っている。

 相変わらずだと思って手術室をのぞくと、森本部長が「お、来てましたか。今朝も緊急手術でしたよ」。

 前日の夕方に来た脳梗塞(こうそく)患者が悪化して午前一時に緊急招集。七時すぎに終わったばかりだという。

 執刀は待機だった福井直樹医師(39)。助手は石井隆之医師(37)。森本部長は朝九時からのこの手術に備えて、午前三時に帰宅したという。

 世の中は連休なのに、この人たちには「オフ」がない。唯一の救いは、前日の昼間に緊急手術が入らず、福井、石井両医師ともに、子供の幼稚園の運動会に出られたことぐらいだ。

 そして、この日の脳外科の手術が終わったのは午後四時。午後からの心臓外科は同八時。心臓外科の患者の主治医になった田辺佐和香医師が晩ご飯を食べたのは、午前零時すぎだった。病棟患者の急変がありバタバタしていたという。

 心臓外科は次の日も、さらに長い手術が待っていた。その主治医は大上医師。また、泊まり込みだという。体力、使命感、向上心。医者は頭脳だけでは務まらない。

 
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