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堆 肥 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
参考書を片手に、材料を集め、見よう見まねで堆肥作りをしてきました。途中で蛆が湧いたり、発酵が進まなかったりの失敗の連続が、勉強の基にもなりました。 秋に集めた落葉と畳わらを積んだ堆肥を、2月の寒い朝に切り返したとき、もうもうと白い湯気を立てて、自然発酵している様子に感動したことが忘れられません。 |
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堆肥ができるための必須条件
木の葉など有機物は自然のなかにおいて、長い時間をかけて、ゆっくり熟成して堆肥となり、次の世代の肥料となる循環をつくります。これに対し短期間で人工的に作る堆肥は人がそれなりの条件を作ってやる必要があります。 堆肥は材料を「腐敗」させるのではなく、「発酵」させて作るわけですから、好気性細菌を増やすために次のことが必要になります。 1.水分を調整する 水分を50%〜55%位に調整します。普通、生ゴミなどは90から98%位の水分を含んでいますから、これをどうやって水分を減らすかが難しいところです。水分が多ければ、嫌気性細菌が増えて腐ってしまいます。水分が少なすぎれば発酵菌が繁殖しないので、堆肥になりません。50%くらいの水分とは、手で握っても水が垂れず、ぱらぱらと崩れるくらいの感じです。 2.空気を調整する 発酵期間中は酸素を十分与えることが必要ですが、微生物の分解に伴う発酵熱を備蓄するため、空気をおおまかに遮断する必要があります。材料にわらなどのふかふかした物が入っているときは、上から重しをかけて、空気が多く入らないように調整します。そして、5〜7日に一度空気を入れるため、かき回してやります。 3.発酵熱は必須 発酵菌が繁殖するとき、堆肥は熱を出します。この熱はだいた60度から高いときは70度位になって、病原菌や寄生虫の卵、雑草の種子などを死滅させます。このように高い発酵熱が上がらないと「うじ等」が発生して堆肥つくりは失敗してしまいます。 4.量を確保する 発酵熱を出させるためには、ある程度材料が多い必要があります。少ないと周囲から熱を取られて中心の熱を維持できないからです。多いほど熱を確保しやすくなります。 5.材料は生ゴミ以外のものも必要 発酵菌を効率よく増殖させるためには、必要に応じて生ゴミ以外に、土や米ぬか、木の葉などをまぜることも必要です。 6.材料を均一化します 熱が上がった頃を見計らってに材料をかき回してやります。これは「切り返し」という大事な作業で酸素の供給と水分の調節をし発酵分解を促進させ、材料を均一化します。切り返し後、急激な熱の上昇がなくなればほぼ出来上がりです。 以上は堆肥つくりの原則的なことです。これらの条件を満たすためにどうすればよいかの方法はいろいろです。堆肥を作る目的によって自分がどのようなやり方で作ればよいのかを考え、準備にかかりましょう。 *主な材料はなにか。(生ゴミ・動物の糞・わら類・おがくず・落ち葉や枯草・その他) *どのくらいの規模でつくるか。(バケツ一杯程度・1立方m程度・数トン程度・生産ライン・その他) *どんな環境で作るか。(家庭内・工場・広めの畑・狭い畑・その他)
堆肥の作り方には、空気を混ぜ込みながら好気性微生物で発酵させる自然式と、材料を密閉して空気を遮断して嫌気性微生物を利用する方法があります。一般的に堆肥は好気性微生物で分解発酵させて作ります。 1.材料を集める とりあえず手に入る材料を集める。 畳やさんから畳の裁断屑をもらってくる。 秋に落ち葉を拾い集めておく。 発酵用に乾燥鶏糞等を買い求めておく。 90cm立方の木枠(約730リットル分)
2.堆肥を作る 上の表のC列とD列は酵素剤を水で溶かし、5時間くらい放置した培養液を振りかけて、2、3 日毎に切り返して作る促成堆肥です。
ここではじっくり作るB列の方法で作ります。 まず木枠の中に、ほぐして適当な長さに裁断したわらと、落ち葉を交互に積み上げ、上から踏み込みます。乾燥鶏糞も間に少しずついれていきます。水分は50から60%(握って湿っている程度)になるように水をかけます。水分が少ないと分解が進まないし、多すぎると好気性細菌が活動しなくなります。 90cmの木枠の高さまで一杯になると、木枠だけをずり上げていきます。こうして1.8m位まで積み上げてから、枠を抜いて、上からビニールシートをかけて、飛ばされないように、ロープで結んでおきました。気温にもよますが、半月もすればわらの中は5〜60℃になって糸状菌が増えて白くなっています。 水分や発酵むらを均等にするため切り返しをします。フォークで崩しながら、隣の場所へ積み上げていきます。冬などは湯気が上がっていい香りがします。高さも切り返す毎に低くなっていきます。このようにして、年末から始めると、翌年の5月頃には何とか間に合います。夏場になると、発酵が早くなるので堆肥化のスピードも上がってきます。
肥料分の少ない堆肥 わらや木屑、植物を原料にした堆肥です。腐葉土などに近い種類の堆肥で、主に土壌改良に効果があります。炭素量が20以上のものをいいます。 豊かな土を作る微生物や、ミミズのエサになる成分が多く含まれているので柔らかな通気性のある畑を作ります。ミミズは土を柔らかくするだけではなく、ミミズの消化管を通った土のなかには、、チッソ、リン酸、カリ、マグネシュームが豊富に含まれているので、野菜が育ちやすい土になります。 肥料分の多い堆肥 家畜の糞などを多く使った堆肥で、炭素量は20以下のものをいいます。 鶏糞や豚糞を混ぜて作ったもので、チッソ分が多く含まれるので、他の肥料を施すときは加減して使う必要があります。厩堆肥でも、牛糞を使った堆肥はチッソ分が少なく、どちらかといえば土壌改良用の堆肥です。化学肥料には少ない微量要素が豊かに含まれているので野菜の生育を助け、有機肥料独特の美味しい野菜作りに便利な堆肥です。
堆肥化はアルカリ条件下で微生物の力を利用し、好気的に温度を高めて分解させて作られたものであり、ボカシ肥は土と混合して熟成し肥料成分薄めて作物の根が障害を受けにくくしたものです。ボカシ肥は微生物活動によって作られていても堆肥ではなく、有機肥料の仲間に入ります。 ボカシ肥は種類が多く、土を入れないで作るものもあり、化学肥料を混合するものや、米糠に糖蜜や微生物資材を混合して嫌気性発酵したものもあります。 堆肥を使うとどんな効果があるか 堆肥には肥料の三大要素のほかに微量要素が供給される効果があり、増収、品質の向上、収穫の安定などの利点は大きい。堆肥の連用によってふかふかな通気性が豊かで保水性、排水性など土壌の改良がすすみ、安定した作物を栽培する基礎ができあがります。 完熟堆肥を使おう 未熟な堆肥を畑にいれると、細菌や糸状菌が急激に増え、その呼吸ガスや代謝産物が作物の根に障害を与えます。完熟堆肥とは分解するものがなくなり肥料成分が無機化して、作物が吸収できる状態になっているものをいいます。作物には障害を与えない安心して使える完熟堆肥を使いましょう。 未熟堆肥はどうするか 1ヶ月以上早めに畑に入れ分解を促します。未熟堆肥を畑に入れ、酸素の供給をよくするため浅めによく耕運しておきます。深く施用すると嫌気状態になって根は障害を受けやすくなります。 作付け後であれば、土の表面を覆うように散布しておき、直接根と接触しないで土の表面で分解させ、養分が次第に沁みこんでいくようにします。 完熟堆肥と未熟堆肥の見分け方 ミミズの反応によって見分ける方法。コップに1/3ほど少し湿った位の堆肥を入れて、観察します。 未熟堆肥:入れた直後に逃亡しようとする。1日で死滅する。 中熟堆肥:入れた直後多少嫌がる。1日後色が変化し、動きが悪くなる。 完熟堆肥:入れた直後すぐもぐる。1日後も変化なく元気。 私たちがホームセンターで購入する堆肥には発酵を促すため、動物の糞尿が使われていることが推測されます。東京都立衛生研究所の発表によると、ゼロパーセント近くまで減っていた日本人の寄生虫卵保有率が復活の兆しが現れていて、この原因に堆肥を多用した有機栽培の野菜との関係を疑われています。通常は堆肥の製造工程中の加熱によって寄生虫を死滅させるなどとされていますが、果たして確認検査がどれほどなされているのでしょうか。 更に動物の糞尿には、使われた餌、抗生物質や飼料添加物などの残留が、検査基準のないまま使用されていると言う問題も気にかかることです。 究極の安全な肥料は植物質だけを使い、時間をかけて完熟した堆肥ということになりますが、現実の農業ではその方向にはないようです。 私たち安全野菜の栽培をめざしている家庭菜園では突き詰めて考えたい問題です。
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