幽霊人命救助隊。
September 01 [Sat], 2007, 10:47
父親から譲り受けた単行本。
元ではあれだった。文藝春秋。
自殺をした4人の幽霊が、天国へ成仏する為に100人の自殺志願者をレスキューするという話。
600ページ近い分厚い単行本だけどそれを感じさせない内容だった。
「現代の世相をよく描き、読み出したら止まらない」という帯のうたい文句も頷ける。
鯨統一郎以来の面白小説。
(作中に静岡県が出てきたという所、ここが非常にポイント高いね。これだけで読む価値がある。しかも伊豆半島。)
「自殺」に至る人のバックグラウンドは様々。
経済問題、人間関係、うつ病など、現代の問題として取り上げられている問題を凝縮して物語に盛り込んでいる所が良かったかな。
内容は濃いんだけど、うまく盛り込んで、俺は読みやすかったと思う。
うつ病の改善には、医師の協力もさることながら、周りの人の助けも必要。
ちょっとした挨拶や態度で救われる人がいる、ということ。
俺もこの前送ったメールに対して、「救われた」って言われてうれしかったしね。
いや、自殺をとめるとかそーゆーレベルじゃないけど。(笑)
よくありがちだけど、最後が良かったね。希望をもたせる最後が。
・未来が定まっていない以上、すべての絶望は勘違いだ。
・公的資金。半分は借金。低金利で預金者から利益を奪い取って返済に充てている。増税と一緒。
公的資金に担保は?連帯保証人(自殺者を増やすシステム。先進国でこの制度があるのは日本だけ)は?期限は?
銀行が同じ条件で庶民に金を貸すか?
・人と人との結びつき。心身の健康。経済状況。自殺へ追い込む3つの要素。
・大儀、純愛。色々な理由をつけて自殺を美化している。
命を投げ出す、という行為に崇高さを感じ取ってしまう。
何かあれば死ねばいいという危うい風潮が出来上がってしまった日本は、
切腹や自爆行為に人々を追い込んだ歴史や文化が反省されないまま、自殺行為だけが正当化されている。
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幽霊人命救助隊
高野和明/著
文春文庫
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