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「北朝鮮支援の核施設」 シリア空爆でイスラエル首相

2008年03月30日06時39分

 2月に来日したイスラエルのオルメルト首相が福田首相と会談した際、昨年9月にイスラエル軍が空爆したシリア国内の施設が、北朝鮮の技術支援を受けた建設中の核関連施設であるとの見方を伝えていたことがわかった。イスラエル政府は空爆の事実だけ認めているが、標的とした施設の種類については明らかにしていない。同政府首脳が外国政府に「核施設」との見方を示したことが明るみに出たのは初めてだ。

 政府関係者によると、2月27日夜に首相官邸で行われた首脳会談で、オルメルト氏はシリア空爆の標的とした施設について「北朝鮮から設計の情報や技術者の派遣を受けて建設中の核関連施設だった」と説明。さらに「イスラエルは北朝鮮の核拡散問題に懸念を持っている。日本と情報を共有したい」と日本との連携を呼びかけたという。

 政府内には「事実は確認できないが、首脳会談という公式の場で伝えられた意味は大きく、信憑(しんぴょう)性は高い」(外務省幹部)と受け止める一方、「イスラエル側が都合のいい部分だけを伝えた可能性もある」(別の幹部)との見方もある。

 6者協議は05年9月の共同声明で、北朝鮮がすべての核兵器と既存の核計画を放棄することとしている。

 昨年10月の6者協議では、北朝鮮が核施設の無能力化と完全な核計画の申告、核物質や核技術などを移転しないことで合意。その後、米国がシリアなどへの核拡散について明確に説明するように求めているのに対して、北朝鮮は核拡散の疑惑を否定し、協議は平行線をたどっている。

 北朝鮮がシリアに核技術を支援していたとすれば、6者協議の合意を無視した行為となるだけに、日本政府も重大な関心を寄せている。

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