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「制御無理なら引退」 ダライ・ラマ、自制促す

2008年03月18日21時59分

 AP通信などによると、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世は18日、チベット亡命政府のあるインド北部ダラムサラでの記者会見で、中国チベット自治区などでの騒乱について「状況が制御できなくなれば、(指導者の地位を)完全に引退することが唯一の選択肢だ」と語った。

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インド北部ダラムサラで18日、記者会見するダライ・ラマ14世=ロイター

 ダライ・ラマは、一連の抗議行動が自身の策動だとする中国政府の主張を否定し反論。「この運動は我々の掌握できる範囲を超えている」と述べた。また、「チベットの独立(の要求)は問題外だ。チベット人と中国人の共存を呼びかける」とも語った。対話を通じて「高度な自治」を獲得するという現在の路線に若い世代を中心に不満が高まり、一部が「独立」を叫んで過激化している状況に自制を求めたものとみられる。

 ダライ・ラマは16日の会見では「引退」について、01年から亡命政府では選挙で選ばれた政府が発足していることを挙げて、「自分はすでに半分、引退した身だ。今、完全な引退(の時機)を探っている」などと話していた。

 ダライ・ラマは、亡命政府の「元首」の地位にある。同政府のサムドン・リンポチェ首席大臣は昨年10月、朝日新聞に「数年のうちにダライ・ラマの『元首』引退はあり得る」と語っていた。チベット仏教の最高指導者としてのダライ・ラマについては従来、先代の死後に生まれ変わりを探すという形で最高指導者の地位を継承してきた。

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