◆国立病院機構南和歌山医療センター、中村善也・脳神経外科医長に聞く
突然悪い風に当たって倒れるという意味のある「脳卒中」。県内では死因の3位で、深刻な後遺症も多い。どのような病気で、どう対応すればいいのか、国立病院機構南和歌山医療センターの中村善也・脳神経外科医長に聞いた。
■脳梗塞や脳出血
脳卒中とは、脳の血管が詰まったり破れたりして、手足のまひやしびれ、言語障害、激しい頭痛などの症状が、突然起きる脳の病気の総称です。脳の血管が詰まる病気が脳梗塞(こうそく)で、血管の詰まり方によって、脳血栓症、脳塞栓症、ラクナ梗塞に分けられます。脳の血管が詰まってもすぐに症状が消失してしまう場合は、一過性脳虚血発作といいます。
脳の血管が破れる病気としては、脳組織の中に出血する脳出血と、脳を覆うくも膜と脳の間で脳脊髄(せきずい)液がたまっている空間に出血するくも膜下出血があります。
■早期治療で軽減
脳卒中は命にかかわったり、大きな後遺症を残したりする恐ろしい病気ですが、早期の発見と治療によって後遺症を軽減できたり、発症を予防できる病気でもあります。
脳卒中が疑われた場合には、脳神経外科や神経内科の医師のいる病院を救急受診してください。そのためには、脳卒中になるとどのような症状が生じるのか、知っておくことが非常に大切です。脳卒中を疑う症状としては、(1)片方の手足のまひやしびれ(2)ろれつが回らず、言葉が出ない(3)視野が半分になる(4)めまいやふらつき(5)意識障害(6)これまでに経験のないような激しい頭痛--があります。これらの症状が突然に発生します。
■日常から注意を
脳卒中にならないためには、原因となり得る高血圧、糖尿病、高脂血症、不整脈などを治療しておくことが大切です。多量の飲酒、喫煙、偏食、肥満、運動不足なども誘因になるため、日常習慣でも注意が必要です。
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■人物略歴
84年、県立医大卒。同大付属病院、国保日高総合病院、和歌山労災病院などを経て05年から現職。
毎日新聞 2008年3月29日 地方版