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中国政府に同調 宗教団体からダライラマ批判相次ぐ
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【北京=矢板明夫】3月中旬のチベット騒乱以後、中国各地で宗教関係者による会議、集会が次々と開かれている。いずれも中国政府の主張と唱和する内容で、仏教、キリスト教、イスラム教、道教などの指導者が相次いで、“自発的”にチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世を批判し始めた。
中国メディアの報道などによると、宗教関係者による集会は各地で急増している。仏教聖地の山西省五台山では23日、約1000人の僧尼が集会を開き、「チベット独立反対」などを訴え、ダライ・ラマを批判した。山東省、甘粛省などでは、政府の呼びかけで、宗教リーダーらによる同様の懇談会が開かれた。
河北省石家荘市のカトリック教愛国会の郭克昌副主席は「祖国を分裂し団結を破壊するダライ集団の大罪を、私たちは怒りを込めて非難する」と同市のホームページにつづった。ローマ法王ベネディクト16世は19日、チベット騒乱について「神がそれぞれに対話と寛容の道を選ぶ勇気を与えるよう祈る」と語っているが、カトリック教徒の郭氏は、融和を求める法王の言葉よりも、中国政府の強硬意見に賛同している。
中国の宗教関係者は過去にも、政府の宣伝塔の役を担っており、1990年代末に当局が気功集団「法輪功」を取り締まった際、各宗教団体は団結して「反法輪功」の大キャンペーンを行った。政府の支配下にある各教団の動きは、騒乱が他宗教に飛び火しないための当局による工作の一環とみられる。
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