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浅知恵(1)

投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2008年03月28日 19:36

またしても議連会合の話なんであるが
こんなやりとりがあった。

仙谷由人・議連会長代行 「大雑把な言い方になるけれど、勤務医の労働条件を改善するという時に、ここに出てくる程度のことで36時間連続勤務が当たり前というようなムチャクチャな話は変わるのか。勤務医がどんどん職場を離れる大きな原因になっているのが、労働基準法を全く無視したような勤務状態であり、交替勤務を取ろうにもそんなにお金が払えないという診療報酬形態があるわけだ。そういったことが解消に結び付く何かというのは、どこを見れば『ああなるほど』ということになるのか」

原徳壽・保険局医療課長
「質問の趣旨がよく分からないのだが、診療報酬は医療機関の収入になる。勤務医の負担軽減策というのは先ほど説明したようなことで配慮している。医療機関の体制についてまで診療報酬では触わることはできない。間接的にいたしているということ。ハイリスク分娩管理などについても、負担軽減計画を必ず作るように要求しているし、その軽減策は勤務医にも見せるという条件になっているので、計画が実行に移されなければ、その病院から勤務医がますますいなくなる可能性もあり、計画を立てたからには実現する方向に動くはず。それ以上の全体の話は総額の問題がある中でこの程度しかできなかったということだ」


今回の診療報酬改定で
ハイリスク分娩管理加算は1日あたり1000点から2000点に倍増した。
その加算をもらうには、施設認定を受ける必要があり
認定を受けるには勤務医の負担軽減計画を出さなきゃいけない
どうだちゃんと考えているぞ、と胸を張ったわけだ。


さて、そのご自慢の軽減計画だが
理論的には、現状がどうなっていて、それをどう変更するか示さないと
何がどう軽減されたのか分からないことになる。
だから、そういう現状報告を病院に求めるそうだ。


ところがである。
現在多くの特定機能病院での勤務実態が労基法を完全に逸脱した状態であるため
厚生労働省職員は申告を受けた瞬間に、違法状態を知った公務員として告発義務が生じる。
つまり、病院は労基法違反で摘発されてしまうかもしれないのだ。
病院上層部としては、現状を虚偽申告するか、認定申請をあきらめるかしか選択肢がない。
とはいえ、虚偽申告それ自体が危ない橋であるから
結局、本当に勤務医が激務で大変なことになっている病院はこの加算を受けられないのだ。
実際、多くの大学病院が申請を見送る方向だという。


好き好んで違法状態にしているわけではないのに
その違法状態があるばっかりに改善の財源を得ることもできない。
たとえは悪いかもしれないが
薬物中毒者が処罰を恐れて助けを呼べず薬物からも離脱できないのに似ている。


本当に勤務医の負担を軽減させるつもりがあり
現実が少しでも分かっているなら
こんな制度運用しないし、まして自慢なんかしないよね。
中医協委員の方々は
自分たちの善意がこんな風に骨抜きされていることをご存じなのだろうか。


「配慮したけれど崩壊した」などとは絶対に言わせないぞ。

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