救急搬送10回以上の断り 昨年1074件、東京が6割2008年03月11日 救急車で運ばれた患者が医療機関でなかなか受け入れてもらえないケースが各地で相次いでいる問題で、総務省消防庁は11日、都道府県を通じて調べた実態調査の結果を公表した。昨年1年間に全国で救急搬送された重症以上の傷病者(転院搬送を除く)約41万人のうち、搬送を10回以上断られた事例は1074件あった。このうち東京都が6割近い614件と突出。埼玉県、大阪府、千葉県、奈良県と続き、首都圏、近畿圏の都市部の深刻さが改めて浮かび上がった。
調査は全国の消防機関に対し、昨年1年間の救急搬送について「重症以上」「妊産婦」「子ども」「救命救急センターに運んだ事例」に分けて報告を求めた。 東京都の場合、重症以上の搬送件数に占める、10回以上断られた事例の割合は約1.4%。およそ80件に1件の割合で、医療機関に受け入れ要請を11回以上繰り返さなければならないケースが出ている計算になる。 東京都以外で多かったのは、(2)埼玉129件(3)大阪71件(4)千葉66件(5)奈良41件(6)神奈川32件(7)兵庫28件(8)宮城26件(9)茨城14件(10)栃木11件(11)群馬10件――の順。これら11都府県で全国の事例の97%を占めた。 重症の搬送を3回以上断られた事例は1万4千件を超えた。断られた回数を集計できた重症搬送件数の3.9%、約26件に1件にあたる。 都道府県別で「3回以上断られた」割合が高かったのは(1)奈良12.7%(8件に1件)(2)東京11.2%(9件に1件)(3)大阪10.1%(10件に1件)など。 妊産婦や子どもの調査でも、大都市での受け入れ困難が目立った。救命救急センターも大都市で受け入れ率が低い傾向があった。 重症以上の傷病者の搬送を医療機関が断った理由は、症状が手に負えない、治療のための資機材がない、などの「処置困難」が22.9%で最多。次いで「ベッド満床」(22.2%)、「手術中・患者対応中」(21.0%)、「専門外」(10.4%)の順だった。 救急車が現場に到着してから出発するまで最も長かった事例は5時間25分(千葉県松戸市消防局)だった。 医療機関に受け入れ不能とされた回数が最も多かったのは、大阪市消防局であった62回の事例。吐血して倦怠(けんたい)感を訴えた男性を63回目の問い合わせで救命救急センターに運んだ。 健康
|
ここから広告です 広告終わり 健康・企画特集病院検索症状チェック一覧企画特集
BOOK
メディカル朝日どらく
朝日新聞社から |