たった一人の公園美化、地域動かす 町内会が活動引き継ぐ

朝夕の2回、公園の美化に取り組んでいる岡崎さん=仙台市若林区六丁の目北町
 仙台市若林区の「六丁の目北町公園」で毎日朝夕、一人で黙々と清掃や花壇の手入れに取り組む「善意の男性」が、地域の話題となっている。荒れ放題だった公園は、3カ月もの作業で雑草や石ころが消え、憩いの場としての姿を取り戻した。男性が今月末、堺市に転居することを知った地元町内会が、公園に芽生えた奉仕の心を根付かせようと、美化活動を引き継ぐことになった。

 この男性は、公園近くのビジネスホテルに滞在中の重機メーカー派遣技術者、岡崎省司さん(62)。市南蒲生浄化センター(宮城野区)のポンプの作動状況をチェックする仕事のため、昨年12月に来仙した。

 岡崎さんは昨年暮れ、散歩の途中でたまたま同公園に立ち寄った。雑草に覆われ、石ころもごろごろ転がっているのを見て、「子どもたちも遊びにくいだろう」と思い、年明けから清掃を本格的に始めた。

 岡崎さんは月2回、大阪市内の市民講座で園芸を学んでいる。竹ぼうきや草を刈るかま、地ならし用のとんぼなどを取り寄せ、毎日、朝と夕方の合わせて一日3時間、3000平方メートル近くもある公園の美化に一人で取り組んできた。

 新たに5カ所の花壇を造るなどして、パンジーやビオラを植栽。こうした岡崎さんの善意は近所の評判となり、2月末からは手伝う子どもたちの姿も見られるようになった。

 岡崎さんは「子どもたちが伸び伸び遊べる場所にしたかっただけ。近所の人に呼ばれて、お茶をごちそうになるなど、交流できてうれしかった」と振り返る。

 岡崎さんは浄化センターの仕事を終え、今月中に自宅のある堺市へ戻る。それを知った町内会関係者が話し合い、美化活動を引き継ぐことを決めた。

 「一生懸命な姿が、住民の地域を愛する心を呼び覚ました」と、地元の六丁の目町内会会長、加藤正敏さん(64)。4月以降は有志が集まり、週1回のペースで公園の清掃などに取り組む。
2008年03月29日土曜日

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