油断禁物!!振り込め詐欺──大阪「貸します」に弱く、兵庫の被害 全国並み

 
              
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油断禁物!!振り込め詐欺──大阪「貸します」に弱く、兵庫の被害 全国並み

2008/03/24配信

振り込め詐欺などの注意を呼び掛けるテレビ画面(大阪市中央区のりそな銀行本社)
振り込め詐欺などの注意を呼び掛けるテレビ画面(大阪市中央区のりそな銀行本社)

関西人は振り込め詐欺に強い――。こんな説を耳にしたことがあるのではないだろうか。実際、関西の人口当たり発生件数は全国平均を下回っており、被害が集中している東京都に比べ圧倒的に少ない。ただ、油断は禁物。被害が少ない大阪でも「貸します詐欺」に限れば東京より多い。兵庫県や和歌山県の被害も実は全国並みだ。なかなか減らない被害の実態と防御策を探った。

 「大阪はオレオレ詐欺の被害、めっちゃ少ないんやでぇ」「さすが大阪や。静岡県の人も気ぃつけや」……。中年女性3人が大阪弁でマシンガンのようにしゃべる静岡県のCM。放送されるや、大阪府民から「イメージが悪くなる」と苦情が相次ぎ、府職員が静岡県まで「情報交換」に出向く騒ぎになった。

 実際はどうなのだろう。息子や税務署員を装ってお金を振り込ませる「振り込め詐欺」の認知件数は、大阪府で390件(2007年)。人口10万人あたりでは4.5件で、14.1件の全国平均を大幅に下回る。近畿2府4県の平均も8.6件で、関西人が被害に遭う確率が相対的に低いのは事実のようだ。

 ただ、なぜなのかはよく分かっていない。大阪府警の幹部は、個人的な見解と断ったうえで、(1)金銭感覚がしっかりしており、怪しい電話は相手を確認する(2)標的になりやすい主婦が、口コミで手口情報を共有している――ためではないかと推測する。

 人口あたり大阪の6倍の被害が出ている東京都。警視庁はホームページで「大阪の人は『電話1本で、そないな大金振り込めるかい!』と突っ込む」などと、大阪流の撃退法を紹介している。疑問を持ったら問いただす関西人気質が被害を防いでいる、というのが定説になりつつあるようだ。

 ただ、こんな指摘もある。「確かに中年女性の被害は少ないが、高齢者の被害は結構多い」(大手銀行)。当たり前だが、過信は禁物だ。「だまされにくいからではなく、犯人の方が大阪人を避けているからでは」(大阪の地方銀行)という見方もある。

 実際、お金に困った人に「融資するから保証金を振り込んでくれ」と持ちかける融資保証金詐欺(通称、貸します詐欺)は、大阪府で人口10万人あたり3.1件発生しており、東京の2.1件より多い。中小企業が集まる大阪ならではの現象といえそうだ。


 振り込め詐欺は関西の中でも地域によって差がある。17.2件と全国を上回る和歌山県。紀陽銀行のある行員(41)は携帯電話で話しながらATMを操作している高齢者に話し掛け、被害を防いだ。この顧客は社会保険庁職員を名のる犯人から「お金を払い戻すから、言ったとおりATMで手続きをしてくれ」と言われていた。この行員は「高齢者が多い地域が狙われているのかも」と推理する。

 兵庫県も13.6件と大阪の3倍。「宝塚や阪神間での被害が多い」(みなと銀行)という。理由は不明だが、芦屋など高級住宅地を抱えているため、犯人グループに狙い撃ちにされている可能性がある。

 被害に遭わないためにはどうすればいいのだろう。まず、警察や社会保険庁、税務署などがお金を振り込むよう電話を掛けてくることはないと知っておこう。最近はお金を郵送するよう求める手口も増えてきたので注意が必要だ。電話を受けたら1度切って相手を確認した方がよい。

 奈良信用金庫で発生した事例では、犯人の指示を携帯で聞きながら支店に来た被害者が、不審に思った職員に声を掛けられ、「銀行の人が来た」と告げたとたん、電話が切れたという。第三者に相談していることを相手に知らせるのも効果的かもしれない。
(大阪経済部 松林薫)
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