「仰げば尊し わが師の恩」―。卒業シーズンの今、この歌詞を聴くとジーンとしますね。私が担当している「ちまた」にも、恩師への感謝をつづった投稿がたくさん届いています。
さて、私の恩師の一人に、高校時代に世界史を教えていただいたT先生という方がおられます。とても気さくなお人柄で、また生徒一人一人をとても大事にしてくれました。最後の授業では、何とフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」を熱唱。「フランス革命を起こした民衆のように、卒業後も力強く進め!」というエールでした。
五十歳を過ぎた今となって顧みると、私の人生の節目節目で先生の存在があったような気がします。生き方に迷った時に「自分に素直に生きればよい」と言われ、何かが吹っ切れたこともありました。
“生涯一教師”を貫かれたT先生は定年退職後、不登校の子どもたちが自由に通える「フリースペースあかね」(岡山市関西町)の代表を務められ「誰もが、ありのままの自分でいられる場所」づくりを目指しておられます。
子どもたちを取り巻く環境が年々厳しさを増す中、砂漠のオアシスのような心安らぐ場所の重要度が高まっています。ところが、先生のお話によると「あかね」は運営資金不足で、存続が危ぶまれているとのこと。私も何とか協力したいと思っています。子どもたちがいつか「教えの庭にも はやいくとせ」と、懐かしく振り返られる場の存続を願いながら。「フリースペースあかね」は、電話086―256―7122。
(読者室・下谷博志)