津山市の民間児童養護施設の元指導員の男性から長年にわたり虐待を受けたとして、20代の元入所者の男女5人が、元指導員と施設を運営する社会福祉法人などを相手取り、計5500万円の慰謝料を求めた訴訟の判決が27日、岡山地裁(広永伸行裁判長)であった。広永裁判長は「施設を退所した時点で損害賠償が請求できる立場にあり、提訴時点では時効(3年)により権利が消滅している」として、原告側の請求を棄却した。
判決などによると原告側は03年に提訴。80年代後半から96年3月にかけて元指導員から体罰を受け、さらに元指導員が経営するパン工場で連日、早朝から深夜までパンや紙袋の製造を無給でさせられたなどと主張。時効の起算点を巡り、「元指導員から受けた暴力のため、訴訟を起こせば仕返しされるなどとおびえていた。賠償を求められると確信したのは02年以降のこと」としたが退けられた。
原告側は同日、記者会見を開き「判決の中で、強制労働や暴力に関して判断していない。施設の中で何が起きたか全く触れられていない判決だ」と述べた。【石戸諭】
毎日新聞 2008年3月28日 地方版