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働きやすさ、女性面接官でアピール

 採用試験の面接官に女性社員を起用する企業が登場している。いきいきと働く女性社員を前面に出すことで、女性が働きやすい職場であることを学生にアピールする狙いがあるようだ。(岡安大地)

担当者・キャリアアップに

 担当する女性社員からも「キャリアアップになった」などと歓迎する声が上がっている。

 住宅設備メーカー、TOTO(北九州市)営業人材育成センターの頓所(とんしょ)舞子さん(31)は今月、来春卒業する大学生の採用試験で面接官を初めて担当した。まず、グループ討論の面接官を3日間、次に1対1の人事面接を4日間経験した。

 頓所さんは入社12年目。同センターに配属されて3年が経過し、社員研修などに加え、新たに採用にもかかわるようになった。

 「採用から研修まで一貫して人材育成に取り組めるようになり、自分にとって大きな自信になりました。いきいきと働いている姿を女子学生に感じとってもらい、入社したいという気持ちを高めてもらえたらうれしい」

学生・「将来像」イメージ


面接を終え、女子学生と談笑する杉山さん(右)。「本音を引き出せるよう、和やかな雰囲気作りを心がけています」

 東京人事グループの杉山暎子(えいこ)さん(38)は昨年から面接官を担当。「面接官は学生と企業の出会いを担う重要な役割。女子学生に対しては『この会社で働き続けるとこうなる』という“見本”になると思うと気が引き締まります」と話す。

 第一生命(東京)は数年前から総合職の1次面接で、女子学生に女性面接官をあてている。書類選考を通過した女子学生には20〜30代の女性社員と接する場も設けている。

 普段は年金事業を担当する総合職の長浜裕美子さん(28)は昨年から面接官を担当。「学生から仕事と家庭の両立について質問を受けることが多いので、自分のキャリア計画をいっそう真剣に考えるようになりました」


第一生命は女子学生向け入社案内冊子を新たに作成。冊子に登場する同僚の働き方に、長浜さん(右)も注目

 荘内銀行(山形県鶴岡市)は1995年から採用面接官をほぼ男女同数とする取り組みを続けている。公正な選考を徹底しているとして、昨年度、厚生労働省から「均等推進企業表彰」を受けた。

企業・多様な「人材」確保

 「企業が女性を面接官に起用すると、多様な人材を確保できるメリットがある」と指摘するのは、女子学生の就職問題に詳しいジャーナリストの福沢恵子さんだ。企業にとって、いきいきと働く女性社員を学生の前に“登場”させることで、女性が働きやすい職場であることをアピールすることにつながる。

 さらに面接を担当する女性社員にとっても、学生からその企業を選んだ理由を聞かれるなどして、改めて仕事の原点に立ち返るきっかけになるという。

 「面接官に女性がいない企業は女性の活用度が低いとみていい。今後、女性管理職が増え、役員面接にも多くの女性が登場すると日本の企業風土も変わるでしょう」と福沢さんは話している。

 男女雇用機会均等法は1997年の改正で募集・採用、配置・昇進など雇用管理上の差別禁止を強化した。「女性の管理職はつくらない」などあからさまな性差別は目立たなくなった。

 厚生労働省によると、係長相当職に占める女性の割合は、95年の7・3%から、2005年には10・4%に高まった。この間、女性労働者(短時間労働者を除く)の平均勤続年数も7・9年から8・7年に延びた。

 福沢さんは「採用試験の面接官に女性が起用されるようになった背景には、女性管理職が増えたこともある」と分析している。

2006年4月27日  読売新聞)

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