
志賀町の高浜海岸に漂着した木造船。巌門で見つかった船も同じタイプとみられる=昨年12月9日
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今年一月、志賀町赤崎の海岸で見つかった白骨遺体の男性が、北朝鮮の軍服とみられる
ズボンをはいていたことが四日、石川県警などの調べで分かった。現場近くの「巌門」の
がけ下では木造船も発見された。階級章などはなく、遺体は北朝鮮の民間人の可能性もあ
る。県内の海岸では、北朝鮮船とみられる小型木造船の漂着が相次いでおり、関係者は「
遺体は海難事故の犠牲者や脱北者などの可能性もある」とみている。
調べでは、一月九日午前八時十分ごろ、赤崎の海岸の岩場で、上半身が白骨化した男性
の遺体が見つかった。深緑色のズボンとカッパのような緑色ズボン、紺色の股引(ももひ
き)、緑色のトランクス、黒色の靴下を着用していた。
さらに同日正午ごろ、遺体の発見現場から約八キロ南の「巌門」のがけ下で、船体にハ
ングルの書かれた小型木造船が発見された。
その後、県警などが男性の衣服を鑑定した結果、深緑色のズボンに人民軍や国境警備隊
の軍服に使われる赤い星のマークのあるボタンが着いていたことが判明した。
同じデザインのボタンは、昨年十二月十一日に新潟県胎内市内の海岸に漂着した男性の
白骨遺体が着ていた深緑色の上着にも付いていた。
関係者によると、北朝鮮では古い軍服が市場で売買されており、軍服を日常着として着
ている民間人も多いという。
第九管区海上保安本部のまとめでは、石川や新潟の海岸では二○○五年に十三隻、○六
年に十隻、○七年に二十隻の無人の木造船が見つかっている。昨年、県内では十一、十二
月の二カ月間で志賀町の高浜海岸などに四隻が相次いで漂着した。船は全長五―十メート
ル。いずれも平底で、北朝鮮の地名とみられるハングルが赤字で表記されていた。
今回、巌門で見つかった船も同種の船とみられる。遺体と木造船の発見現場が近いこと
から、県警などは男性と船との関連を調べている。