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グルジア:分離独立派、動き活発 コソボ問題絡み、露が支援姿勢

 【モスクワ大木俊治】旧ユーゴ・コソボの独立宣言に触発され、グルジアで分離独立派勢力の動きが活発化し始めた。背後にはコソボ独立に反対するロシアの思惑があり、地域情勢の悪化につながる懸念も出ている。

 グルジア領内の南オセチア自治州議会は5日、国連や欧州連合(EU)、ロシアに対し、グルジアからの独立承認を求める書簡を送付した。これを受け、同じ民族でロシア連邦を構成する北オセチア共和国議会は6日、ロシアに南オセチアの独立承認を求める同自治州議会との共同声明を送付した。

 また、グルジア領内で同じく分離独立を求めているアブハジア自治共和国の指導者で自称大統領のバガプシ氏も5日、近く独立承認の要請を国連などに送付する意向を表明。ロシア外務省は6日、これまでアブハジアに科していた経済制裁の解除を発表した。

 ロシアは96年、アブハジアの紛争再燃を懸念し、独立派勢力に自重を促すため独立国家共同体(CIS)の枠組みで経済制裁を導入した。当時グルジアは親露のシェワルナゼ政権だった。ロシア側は今回の制裁解除について、「アブハジア側は正常化のための義務を履行しており、これ以上の制裁は意味を失った」とし、逆に正常化を妨げているのは現在の親欧米グルジア政権だと非難した。

 ロシアは、米国やEU主要国などのコソボ独立承認の動きを「国際法違反」と糾弾してきた。また欧米が主張するコソボ「特殊論」に反論し、旧ソ連を含む各地の民族紛争の再燃につながる「パンドラの箱」を開ける行為だと警告してきた。

 プーチン大統領が5月で退任する政権交代期のロシアにとって、こうした国境地域の不安定化は望ましいものではない。このため積極的な独立支援というより、欧米への警告や親欧米グルジア政権の北大西洋条約機構(NATO)加盟への動きをけん制する狙いがあるとみられる。

 しかし、こうしたロシアの思惑を超え、旧ソ連時代の遺産として民族分裂を強いられてきた地域の動きが活発化する可能性もある。アゼルバイジャンとアルメニアの係争地ナゴルノカラバフ自治州でも4日、双方の武装勢力間の衝突で8人が死亡し、紛争再燃の恐れが高まっている。

毎日新聞 2008年3月9日 東京朝刊

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