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ザンビア 労働 IPS
ザンビア:中国の影響力拡大への抵抗
2006/10/27

【ルサカIPS=イザベル・チマンジェニ、10月18日】

 ザンビア経済における中国の影響力拡大と人権侵害が、ザンビアの市民の怒りを生んでいる。

 現地の中国大使館によれば、中国によるザンビアへの投資は3億ドル以上に上り、1万人以上のザンビア人を雇用している。

 しかし、中国系企業は、労働力を安く買い叩き、社会保障も与えないことで非難されている。

 また、もっとひどい人権侵害も起こっている。爆発物を製造している工場「BGRIMM」では、爆発事故が起こり40人以上の従業員が亡くなった。しかし、不思議なことに、中国人労働者だけはなぜか全員が脱出に成功している。被害者への補償交渉も進んでいない。また、今年初めには、中国人の経営する銅山において、労働環境の改善を訴えた6人の労働者が射殺される事件が起こっている。

 さらに、中国産の安い織物の流入により、地元産業が打撃を受けているという問題もある(アフリカでは「中国津波」とも言われている:IPSJ)。

 今年の9月28日に大統領選挙が行われ、レヴィ・ムワナワサ氏(Levy Mwanawasa)が勝利を収めたが、対立候補のマイケル・サタ氏(Michael Sata)は首都のルサカと産銅地帯(the Copperbelt)においてムワナワサ氏を上回る票を獲得した。

 ザンビア大学のネオ・シムタンイ氏は、これらの地域では中国系企業による上記のような問題が数多く発生しており、その不満が、サタ氏への支持に向かったと分析している。サタ氏は、中国の問題を積極的に取り上げていた。

 他方でムワナワサ候補は、当初は中国の擁護に回っていた。しかし、後になって、労働法を遵守しない投資家は逮捕されるべきだという立場に変わった。名指しはしていないが、中国系企業が念頭にあるのは明らかであった。

 また、ザンビア自由労組総連合(FFTUZ)を初めとしたいくつかの労組も、中国批判を展開してサタ氏を支援した。

 ザンビアにおける中国系企業の問題について報告する。(原文へ

翻訳/サマリー=山口響/IPS Japan浅霧勝浩

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(IPSJapan)

ルサカIPSのイザベル・チマンジェニより、ザンビアにおける中国系企業の問題について報告したIPS記事。(IPS Japan浅霧勝浩)
















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