鯵ケ沢町立中央病院が要請していた国の緊急臨時的医師派遣について、県地域医療対策協議会は27日、青森市で会議を開き、国へ要請することを決めた。緊急臨時的医師派遣の要請は県内で初めて。決定を受け、県は4月にも要請する。しかし、医師派遣は期間が原則六カ月と短期で、同病院は引き続き医師確保の努力を迫られる。
 同病院の常勤医は2004年4月には9人だったが、現在は内科医2人と外科医3人の5人体制。
 一時はさらに内科医が1人減るという危機的状況に陥り、3月12日に県に対して国への緊急臨時的医師派遣要請を依頼する文書を提出した。提出後の弘前大学との話し合いで、4月からも当面、短期だが常勤医5人体制を維持できる見通しだという。
 会議では同病院から石岡幸男事務長らが出席して現状を説明。県も同病院は西北五地域保健医療圏で唯一のへき地医療拠点病院であり、西海岸一帯の救急医療を担っているため、医師不足が地域に与える影響が大きいとの判断を示した。
 協議会メンバーからは「六カ月派遣では、一時的に患者が増えてもその後の対応が大変」「慢性的な医師不足にどれほど効果があるか疑問」という意見が相次いだが、最終的に国への要請も医師確保の努力の一環―と要請を決定。
 これを受けて、県は内科医2人と昨年10月から常勤医不在となっている整形外科医1人の派遣を要請する。
 都道府県からの要請は、国の地域医療支援中央会議・幹事会で検討されるが、現時点で会議の開催は未定。派遣が決まれば全国規模の病院グループなどから医師が短期派遣されることになる。
 終了後、議長を務めた佐藤敬弘前大学大学院医学研究科長は「抜本的な解決にはならないという問題もあるが、鯵ケ沢は待ったなしの状況にあり、あらゆることをやっていかないといけない」と語った。石岡事務長は「すべて会議の通り」とコメントを避けた。