「県地域医療対策協議会」(会長、佐藤敬・弘前大大学院医学研究科長)は27日、青森市内で会合を開き、国の「緊急臨時的医師派遣システム」を利用し、鰺ケ沢町立病院(星野恵治院長)へ医師3人の派遣を要請することの必要性を認めた。これ受け県は来月初旬にも国に医師派遣を要請する。同システムの利用は県内で初めて。
「緊急臨時的医師派遣システム」は▽救急医療を担う▽医師が減り休診した(休診する)診療科がある▽努力しても医師を確保できない--といった条件に当てはまる病院に、「6カ月以内」との期限付きで国が医師を派遣する。07年5月に緊急医師確保対策として国が打ち出した。
深刻な医師不足に陥っている鰺ケ沢町立病院は「救急告示病院」であり、西北五地域保健医療圏で唯一の「へき地医療拠点病院」。04年4月には9人いた常勤医が、内科医2人と外科医3人の計5人に減り、さらに来月には内科医が1人になるという。このため「へき地診療・訪問診療などを中止せざるを得ない」として県に内科医2人、整形外科医1人の医師派遣を国に要請するよう求めていた。
要請決定を受け、鰺ケ沢町立病院の石岡幸男事務長は「(現状は)大変だということ。それ以上はノーコメント」と述べた。協議会の佐藤会長は「長期的な展望では(期限付きの派遣では)抜本的な解決にはならない。しかし、鰺ケ沢町立病院は明日も厳しい状況だ。要請した後も、県として(医師確保へ)努力することが大切だと思う」と述べた。【喜浦遊】
毎日新聞 2008年3月28日 地方版