神戸掖済会病院(神戸市垂水区)にてんかんの発作で運ばれた垂水区の女性(38)が脳に障害が残ったとして、同病院を運営する日本海員掖済会(東京都中央区)に慰謝料など計約4500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、神戸地裁であった。橋詰均裁判長は「普段服用している薬を投与させてもらえなかったことが原因」として、約3100万円の支払いを命じた。
判決によると、女性は98年6月以降、京都市の病院でてんかんの治療を受けていた。05年1月21日、発作で神戸掖済会病院に搬送され、入院。女性の母親が医師に説明し、薬を渡したが、医師は別の薬を投与した。27日には全身のけいれんを頻繁に繰り返すてんかん重積に陥り、記憶障害が残った。
判決は「必要量の薬を投与すればてんかん重積にならず、以前と同じように働くことができた」とし、医師が注意義務を怠った過失による障害と認定した。
神戸掖済会病院の宮道一重・事務部長は「今後のことは判決文を見て検討したい」とコメントした。【酒井雅浩】
〔神戸版〕
毎日新聞 2008年3月27日 地方版