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【健康】

来月スタート 75歳以上を対象 後期高齢者医療制度  全員が保険料負担

2008年3月28日

 七十五歳以上のお年寄りを対象とした「後期高齢者医療制度」が四月からスタートする。対象者は従来の国民健康保険(国保)などから脱退して新制度に加入し、全員が保険料を負担することになる。同制度をあらためて整理する。 (杉戸祐子)

 「高齢者が新しく費用を負担するなんて。高齢者の医療費がかさんで長生きして申し訳ないと思う」。東京都内で一人暮らしをする女性(96)は新制度の導入にこう嘆いた。女性は中部地方で暮らす長男(68)の加入する国保の扶養家族になっており、これまでは保険料は負担せず、窓口負担(一割)だけで医療を受けてきた。ぜんそくとひざの関節痛で月に二回通院するほか、治療を受けたがんの再発がないか、定期検査を受けている。月ごとの医療費の自己負担は約千円という。

 女性の収入は二カ月で約八万円の年金のみ。ほとんどが生活費に消え、外出費などは貯金を切り崩している。「ギリギリの生活をしている中で新しく保険料を徴収されるのは大変困る」

     ◇

 新制度は「後期高齢者」と呼ばれる七十五歳以上のお年寄りが対象。増加する老人医療費抑制が狙いだ。対象者はこれまで国保などに加入しながら市区町村の老人保健制度で医療を受けてきたが、四月以降は現行制度を脱退し、新制度に加入する。対象者は約千三百万人で、三月中に新しい被保険者証が支給される。

 医療機関にかかった際の窓口負担が原則一割(現役並み所得がある人は三割)なのは現行のままだが、大きく変わるのが保険料の負担法だ。新制度では介護保険と同様に個人単位での加入となるため、前出の女性のように子どもや配偶者の被扶養者として保険料を支払っていなかった人も含め、全員が保険料を支払う。

 保険料は加入者全員が支払う「均等割」と、所得に応じて額が決まる「所得割」の合計で計算される=表。同制度を運営する、都道府県ごとの「広域連合」によって額などが違うため、収入が同じでも居住地で保険料が異なる“地域格差”も生じる。新たに保険料を負担する高齢者(約二百万人)や低所得者には軽減措置がある。

 厚生労働省によると、保険料の全国平均は年額約七万二千円、月額にして約六千円。原則として年金から天引きされるため、四月十五日に支給される年金から、偶数月に二カ月分ずつ天引きされる。

 保険料を滞納した場合、被保険者証を返還して「資格証明書」の交付を受け、医療費がいったん全額自己負担となるなどの措置が取られる場合もある。それぞれの保険料の額は四月上旬に通知される予定。額についての個別の問い合わせは各都道府県の広域連合へ。

 

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