1969-1980
PRITTIES FOR YOU(1969) |
TITANIC OVERTURE/10 MINUTES BEFORE THE WORM/SING LOW, SWEET CHEERIO/TODAY MUELLER/LIVING/FIELDS OF REGRET/NO LONGER UMPIRE/LEVITY BALL(LIVE AT THE CHEETAH)/B.B. ON MARS/REFLECTED/APPLE BUSH/EARWIGS TO ETERNITY/CHANGING ARRANGING |
アリスのデビュー作。サイケ色が濃くて前衛的な色彩が強い作品で,後の作品との違いは大きい。はっきり言ってB級作品。曲も大したことないし,サウンドもチープ。演奏も下手くそ。それでもアリスの独特な声だけは耳を惹き付ける魅力がある。さすがアリス!って誉めたいところだが,アルバム1枚通して聴くのはしんどいなあ。アリス作品でなけりゃ,とっくに売り払っているところです。というか,そもそも買ってないだろう。でも,このアルバムが全米193位とはいえ,チャートインしているんだよなあ。 |
EASY ACTION(1970) |
MR&MISDEMEANOR/SHOE SALESMAN/STILL NO AIR/BELOW YOUR MEANS/RETURN OF THE SPIDERS/LAUGHING AT ME/REFRIGERATOR HEAVEN/BEAUTIFUL FLYAWAY/LAY DOWN AND DIE, GOODBYE |
このアルバムも前作の流れを踏襲した作品になっているため,俺にはきつい。それでも楽曲は多少は進歩したのかな?初めて聴いた時,前作よりは忍耐が必要ではなかったから。「おっ」と思わせるメロディも少しあるし。この頃のアリスが志向していたのは,明らかにハードロックではなかったのだと思う。はっきり言って,STRAIGHT RECORDS時代のこの2作品はオリジナルアルバムにも関わらず,マニア向けです。聴くなら一番最後。 |
LOVE IT TO DEATH(1971) |
CAUGHT IN A DREAM/I'M EIGHTEEN/LONG WAY TO GO/BLACK JUJU/IS IT MY BODY/HALLOWED BE MY NAME/SECOND COMING/BALLAD OF DWIGHT FRY/SUN ARISE |
いよいよメジャーデビュー。アリスの歴史はここから始まったと言っても過言ではないだろう。このアルバムが発売された当時,世間ではアリスの扱い方がよくわからなかったためか,「ホモホモロック」なんて呼んだりしていたようだ。しかし,音自体は普通のハードロックで,初めてのヒット曲「I'M EIGHTEEN(全米21位) 」,ライブの定番曲(アリスが拘束衣を着て歌い,最後に看護婦を殺してしまうアレです)「 BALLAD OF DWIGHT FRY」が収録されているというだけで一聴の価値はある。まだ楽曲にムラがあり,1枚通して聴くには弱いことは否めないが,この後の成功を予感させることは間違いない。並みのバンドならこの作品は代表作にもなり得るだろうが,そこはアリス先生,この後からがすごいんだから! |
KILLER(1971) |
UNDER MY WHEELS/BE MY LOVER/HALO OF FLIES/DESPERADO/YOU DRIVE ME NERVOUS/YEAH,YEAH,YEAH/DEAD BABIES/KILLER |
前作からわずか9ヶ月後,このアルバムを発表。前作に続いてヒットした。短期間で劇的に成長を遂げたバンドの姿が記録されている。この作品も名曲揃いで「UNDER MY WHEELS」は大ヒットを記録し,現在もライブでは必ずプレイされる代表曲の1つ。後にGUNS N'ROSESの面々とリメイクしている。これも必聴。「DEAD BABIES」は不気味な雰囲気の曲で,ライブではアリスが死んだ赤ん坊の人形を振りかざすという過激な演出で1つのハイライトとなっている。いくつかの曲が突出しているだけなら前作と変わらないが,このアルバムは楽曲のクオリティが格段にアップしており,いよいよアリスならではの,聴いているだけで自然に映像が頭に浮かんでくるようなアルバム作りがなされている。真っ赤なジャケットが印象的。 |
SCHOOL'S OUT(1972) |
SHOOL'S OUT/LUNEY TUNE/GUTTER CAT VS. THE JETS/STREET FIGHT/BLUE TURK/MY STARS/PUBLIC ANIMAL#9/ALMA MATER/GRANDE FINALE |
数あるアリス作品のなかでも傑作中の傑作。アリスが本当の意味で大物になったのはこのアルバムから。十八番の変形ジャケットが初めて採用された作品でもある。学校の机を模ったジャケット,パンティにくるまれたレコードが大きな評判となった。タイトルトラックは全米7位の大ヒットを記録し,アリスの代名詞的な曲となった。今でもアメリカ産ドラマで夏休みが訪れる場面ではこの曲が使用されている。その他の曲も素晴らしく,地味と思われる曲でも独自のメロディが聴き手を飽きさせない。正式なコンセプトアルバムではないが,通して聴くとアリスが意図した通り,ミュージカルを観ているような気分になる(俺,ミュージカルは観たことないんだが)。70年代の作品の中では1番好きかもしれない。本作は全米2位を記録し,いよいよ全米NO.1バンドも目前となった。 |
BILLION DOLLAR BABIES(1973) |
HELLO HOORAY/RAPED AND FREESIN'/ELECTED/BILLION DOLLAR BABIES/ UNFINISHED SWEET/NO MORE MR. NICE GUY/GENERATION LANDSLIDE/SICK THINGS/MARY ANN/I LOVE THE DEAD |
これもまた,傑作中の傑作。ジャケットはヘビ皮の財布をデザインしており,「金」をテーマにしたコンセプト作として見ることもできる。ヒット曲,ライブでの定番曲が多数収録されている。タイトルトラック,「NO MORE MR.NICE GUY」「ELECTED」「I LOVE THE DEAD」等々。ほとんどベストアルバム状態だ。そして,異色な1曲が「MARY ANN」。ピアノをバックにアリスが朗々と歌い上げるバラードだが,綺麗な曲なのに何か不気味というか,奇妙な感覚を覚える。また,マーク・ボラン,キース・ムーンといった豪華ゲストが多数参加した作品。80年代以降のアリスのアルバムには多くのゲストが参加するが,贅沢なメンツを集めるというアリスの趣味はこの作品から始まっていると思う。このアルバムはついに全米1位まで昇りつめ,名実共に世界でも有数のビッグなロックバンドとなった。初心者が70年代のアルバムに最初に手を出すならこの作品がお勧め。 |
MUSCLE OF LOVE(1974) |
BIG APPLE DREAMIN'(HIPPO)/NEVER BEEN SOLD BEFORE/HARD HEARTED ALICE/CRAZY LITTLE CHILD/WORKING UP A SWEAT/MUSCLE OF LOVE/MAN WITH THE GOLDEN GUN/TEENAGE LAMENT '74/WOMAN MACHINE |
前作とそれにともなうツアーは大成功を収めたが,メンバー間は必ずしもうまくいっていたわけではなかった。派手に,過激さを増しつづけるショウに対する不満があったようだ。だって,目立つのはアリスだけだもんなあ。それに加えて前作に多数の豪華ゲストを招くというスタイルを取ったこともアリス以外のメンバーにはおもしろくなかった。しかし,アリスはここでもライザ・ミネリらをゲストに招き,ブラスを導入するなど前作以上にゴージャスなサウンド作りを行っている。しかし,前2作と比較すると楽曲の質がやや下がっていることは否めない。他のメンバーのモチベーションが下がっているのだからやむを得ないだろう。それでも,タイトルトラックや「TEENAGE LAMENENT '74」といった曲は現在でもライブのセットリストに加えられるくらいの名曲。そして,「HARD HEARTED ALICE」は隠れた名曲。全米10位を記録したこの作品を最後にバンド「アリス・クーパー」は分解する。 |
WELCOME TO MY NIGHTMARE(1975) |
WELCOME TO MY NIGHTMARE/DEVIL'S FOOD/THE BLACK WIDOW/SOME FOLKS/ONLY WOMEN BLEED/DEPARTMENT OF YOUTH/COLD ETHYL/YEARS AGO/STEVEN/THE AWAKENING/ESCAPE |
前作を最後にソロ・アーティストとなったアリスが発表した第1弾。邦題は「悪夢へようこそ」。これも名作中の名作だ。ABCテレビの同名番組のサウンドトラックとして制作されており,本格的なコンセプトアルバムである。アリスが毎夜見る悪夢がテーマになっていて,主人公としてアメリカの典型的な10代であるスティーブン少年が登場する。この作品は全米5位まで上昇し,代表的バラード「ONLY WOMEN BLEED」は全米12位を記録する大ヒットとなった。アルバム全体は,これまでと比較するとポップさに欠ける印象があるが,テーマに合わせてキャッチーなメロディを抑えているのだろう。「YEARS AGO」〜「STEVEN」の流れは圧巻!とにかく不気味な印象を受けるアルバムで,これを聴きながらホラー小説を読むと最高。もしかするとアリスの作品の中で最も優れているのかもしれないが,ギターよりピアノのの使用度の方が高いし,初心者にはとっつきにくいと感じるかもしれない。しかし,避けては通れないアルバム。 |
ALICE COOPER GOES TO HELL(1976) |
GO TO HELL/YOU GOTTA DANCE/I'M THE COOLEST/DIDN'T WE MEET/I NEVER CRY/GIVE THE KID A BREAK/GUILTY/WAKE ME GENTLY/WISH YOU WERE HERE/I', ALWAYS CHASING RAINBOWS/GOING HOME |
前作に引き続き,シアトリカルな一面が強調されたアルバム。楽曲がという意味ではなく,アルバム全体から発せられる空気がシアトリカルということ。前作よりもキャッチーかつロックしているので,こっちから聴いたほうがいいかも。しかし,一般的な評価は決して低くはないものの,アリスの代表作という見方はされてないアルバム。俺にはどうしてかわからない。「悪夢へ〜」よりもこっちの方が好きだ。正式なコンセプト作ではないようだが,聴いていると様々な映像が頭に浮かんでくる。この作品は全米27位と,ここ数作から比較するとチャート上では落ちるが,バラード「I NEVER CRY」は12位まで上昇するヒット曲となった。そうそう,このアルバムのブックレットに「I'M THE COOLEST」が大ヒットって書いてあるけど,これは間違いでしょ?そして,1曲目の「GO TO HELL」がかっこよすぎ。ライブでも定番曲になっていて,アルバムより更にかっこよく演奏されている。このサイトはもちろんこのアルバムからタイトルを戴いているわけで,俺はこのアルバムが死ぬほど好きなんだ。 |
LACE AND WHISKEY(1977) |
IT'S HOT TONIGHT/LACE AND WHISKEY/ROAD RATS/DAMNED IF YOU DO/YOU AND ME/KING OF THE SILVER SCREEN/UBANGI STOMP/(NO MORE)LOVE AT YOUR CONVENIENCE/I NEVER WROTE THOSE SONGS/MY GOD |
このアルバムを発表した頃,アリスは極度のアルコール中毒に苦しんでいた。この作品にはそんなアリスの姿が投影されている感じがする。はっきり言って,ちょっと落ち目になってきた感じが漂っている。もちろん,いい曲も多いけど,前作までのパワーは感じられなくなってきている。チャート上でも失敗に終わり(それでもバラード「YOU AND ME」は全米9位),アリスの人気にも陰りが見られてきた時期だ。実際,ここからのアリスは徐々にではあるが下降線を下ってきており,この後約10年間,真の意味での成功を収めることはできなかった。拳銃と酒が配置されたジャケットが示すようにこの作品でアリスは,アルコール中毒の私立探偵を演じて,ハードボイルドなイメージを打ち出しているが,成功したとは言い難い。これから数年間,アリスは自己イメージの演出に苦しんでいたようで,それこそが低迷の原因になったような気がする。でも,悪いアルバムではない。俺にとっては低迷期も含めてアリスだから。 |
THE ALICE COOPER SHOW(1977) |
UNDER MY WHEELS/I'M EIGHTEEN/ONLY WOMEN BLEED/SICK THINGS/IS IT MY BODY/I NEVER CRY/BILLION DOLLAR BABIES/DEVIL'S FOOD〜THE BLACK WIDOW/YOU AND ME/I LOVE THE DEAD〜GO TO HELL〜WISH YOU WERE HERE/SCHOOL'S OUT |
アリス初のライブアルバム。これは前作「LACE AND WHISKEY」発表後のステージを収録した作品。同アルバムからの曲や過去のヒット曲中心の内容。この頃のアリスはアルコール中毒に悩まされていたのだが,テンションは非常に高い。観客の反応も良い。バックの演奏も確実で,安心して聴いていられる。ただ,やはり映像を伴っていないことが残念だ。また,何曲かはメドレー形式で演奏されている。「I LOVE THE DEAD」「GO TO HELL」あたりは,やはり完奏したものが聴きたかった。アリスはこのアルバムが気に入らないそうだ。どうしてかはわからないが,おそらく,当時の体調では満足できる水準のライブはできなかったと考えているのだろう。それなら違うライブアルバムを出せよと思うが,結局,次のライブアルバムが発表されたのは,これから20年後。 |
FROM THE INSIDE(1978) |
FROM THE INSIDE/WISH I WERE BORN IN BEVERLY HILLS/THE QUIET ROOM/NURSE ROZETTA/MILLIE AND BILLIE/SERIOUS/HOW YOU GONNA SEE ME NOW/FOR VERONICA'S SAKE/JACKKNIFE JOHNNY/INMATES(WE'RE ALL CRAZY) |
前作あたりから人気に陰りが見えてきたアリスだが,このアルバムはすごくいい。アルコール中毒の治療のために精神病院にまで入院したそうだが,このアルバムではアルコールとの格闘がテーマになっている。精神病院の患者が多数登場する歌詞が素晴らしい。でも,そんなヘヴィなテーマなのに音はすごくポップ。後の「TRASH」の原点がこのアルバムだと思う。ジャケットは目の部分が観音開きになるという変形ジャケット。それもインパクトあるが,やっぱりアリスの蒼ざめた顔がすごい。自分の顔をでかく載せるだけで,こんなに強烈なジャケットができてしまうんだから,さすがアリス。このアルバムからは「HOW YOU GONNA SEE ME NOW」というバラードが全米12位とヒットしたが,アルバム自体は全米60位とやや低迷。 ツアーは大きな規模で行われたが,これを最後に本当に低迷期に入ってしまう。 |
FLUSH THE FASION(1980) |
TALK TALK/CLONES(WE'RE ALL)/PAIN/LEATHER BOOTS/ASPIRIN DAMAGE/NUCLEAR INFECTED/GRIM FACTS/MODEL CITIZEN/DANCE YOURSELF TO DEATH/HEADLINES |
80年代に入り,アリスは大幅にイメージチェンジを図った。テクノポップに走ったのだ。人気が落ちてきたからやったんだろうが,これは失敗だった。ジャケットもいつになくシンプル。アリスらしさに欠ける内容で,さすがにチャート上でも失敗した。このアルバムの中では,「CLONES(WE ARE ALL)」が今でもたまにライブで演奏されるだけあってなかなかの曲。アルバム自体も何度も聴いているが,その他の曲は印象に残らない。やっぱりこのアルバムはアリスファンにはキツイものがあるだろう。この手の音楽が好きな人はどう感じるんだろう。意外と評価がよかったりして。 |