【ロンドン町田幸彦】ポーランドのトゥスク首相らが北京五輪の開会式欠席を明らかにしたことで、28~29日の欧州連合(EU)非公式外相理事会は五輪問題が焦点となりそうだ。EU内では開会式参加を表明している国もあり、対応は分かれている。
英国訪問中のサルコジ仏大統領は27日、ロンドンでブラウン英首相との会談後、記者会見し、「北京五輪の開会式に出席するかどうかの決定を留保する」と述べた。サルコジ大統領はこれまでもチベット暴動で中国の強硬姿勢が続けば欠席も検討すると述べていた。サルコジ大統領は「EU加盟27カ国のいずれも五輪ボイコットを求めていない」と強調した上で、「中国政府とダライ・ラマ14世の対話を実現すべきだ」と要請した。
一方、ブラウン首相は「我々は北京五輪をボイコットしない」と言明。「双方に暴力を避けるよう求める。我々は(チベットの)完全独立を求めない」と述べ、チベット独立の動きを支持しないことを明らかにした。ロンドンは北京の次(12年)に五輪が開かれる。
ワルシャワからの報道によると、ポーランドのコモロフスキ下院議長は「トゥスク首相の欠席意思は明らかで今後他国との関係に影響するだろう」と語った。チベット問題を巡るポーランドなどの対応が今後、EU加盟国内に波紋を広げることも予想される。
毎日新聞 2008年3月28日 東京朝刊