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国産食材:偽装問題や中毒事件…不祥事相次ぎ人気

店頭に掲げられた緑ちょうちん
店頭に掲げられた緑ちょうちん

 国産食材が人気だ。食の偽装問題や中国製冷凍ギョーザによる中毒事件など相次ぐ食の不祥事の影響で、これまで輸入に頼ってきた食材の国産品転換が進んでいる。しかし日本の食料自給率はカロリーベースで39%(06年度)。国産野菜などは品薄感も強く、値上がり傾向にある。国産品人気が及ぼすものは--。【中川紗矢子】  

 関東、関西を中心に827店舗を展開する生鮮コンビニ「SHOP99」は、「段ボール肉まん騒動」など中国製品への不信感の高まりを受けて、昨秋から徐々に国産品に比重を移している。現在、国産品の割合は野菜がほぼ100%(以前は約90%)、冷凍食品が約70%(同約50%)。

 すかいらーくグループ(約10系列レストラン3000超店舗を経営)も「消費者心理への配慮はもちろんだが、工場の一国集中はリスクが大きい。国内自社工場で鮮度の高い国産品を多く使っていきたい」と語る。

 農林水産省植物防疫所によると、中国産野菜の輸入量(検査実績)はギョーザ事件が報道された1月末からの1カ月間では前年同期比約72%に激減。同省は「中国側が事件後、安全検査の徹底を強化したことや消費者の中国産離れなどだろう」と見る。

 東京都中央卸売市場築地市場でも春季に中国産が多くを占めるにんにくや根しょうが、たけのこなどの取扱量が前年比6~8割。一方、国産を中心とする中国産以外の取扱量が増えているが、値段も「過去5~6年の間でも最高値」(同市場)という。

 ■夜のちまたでも注目

 国産人気は居酒屋にも及ぶ。赤提灯(ちょうちん)ならぬ「緑提灯」が夜のちまたで注目を集めている。

 緑提灯は、「地場産品応援の店」と書かれ国産品を多く使う店に掲げてもらう。中央農業総合研究センター(茨城県つくば市)の丸山清明所長が05年4月、当時勤務していた北海道で仲間と共に「酒飲みの道楽」(丸山さん)として始めた。食材に占める国産品の比率(カロリーベース)が50%を超えたら星印一つ、10%増えるごとに星を一つずつ加える。公的な認定ではないが店主の食材へのこだわりを示すことができる。

 05年4月に第1号店が北海道小樽市にできて以来、今年の2月初旬までに全国の加盟店は100店に達した。特に1月末のギョーザ事件発生後は2週間で100店が加盟し、200店舗を突破した。現在も、メールや電話での問い合わせが相次いでいるという。

 2月から“五つ星”の緑提灯を掲げる東京都台東区根岸の「家庭料理 順子」の店主、岡沢葉子さんは「前から産地にこだわってきた。緑提灯の存在を知って『うちそのものだ』と思って掲げた」と胸を張る。

 ■自給率の低さに危機感

 こうした動きの背景にあるのは自給率の低さに対する危機感だ。丸山さんは緑提灯の真の目的について、「国産品を多く使う店を応援することで国内の生産農家を応援し、結果として自給率を上げたい」と語る。

 フードジャーナリストの林美香子さんは「ギョーザ事件は今まで値段だけで食べ物を考えていた人が、食生活を振り返るきっかけになった。そういう意味では自給率への関心も高まりつつあるのではないか」と指摘する。

毎日新聞 2008年3月25日 11時58分(最終更新 3月25日 17時03分)

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