2008年3月26日

クリアウオーター最後の試合はヤンキース戦。
相手監督のジョー（ジェラルディー）が
笑わせてくれました。
僕の打席が回ってきたときに、それまで投げていた左ピッチャーを
右に代えたのです。
僕の次は、左のジェフ（ジェンキンス・外野手）。
なんでまた僕なんかのために、わざわざ左投手を
下げるのか。

（なんでやねん！）
ヤンキースベンチに向かって、両手のひらを上にして、「わからないよ」のポーズをとり、
さらに、
（次は左のジェンキンスやんか！）と、
左打者の真似をすると、
僕のジェスチャーゲームに乗るどころか、ジョーは大声で、
「アカンアカン！左をそのまま投げさせたら、お前が３塁線を抜く２ベースを打つことは
もうわかってるんだ！代える代える！」
野球人生で初めて、相手監督の采配を口頭で説明されました。

交代したばかりの右投手から打ったのは、ライト線の２ベース。
ちょっと気持ちよかったものの、ジョーの顔を見る勇気はありませんでした。
たぶん苦笑いしていたんでしょうけどね。

いよいよ明日は、ビジターゲームのあと、フィラデルフィアに移動します。

フロリダ州クリアウオーターにて　田口壮　

2008年3月25日

花粉が・・・・見える。
現在借りている白い車が、時間が経つとうっすら黄色くなってきます。
ワイパーを動かすと、ぶわっと花粉が舞い散ります。
チームの大半が、目のかゆみ、咳くしゃみ鼻水、と、豪華症状のオンパレード。
見た目、大変ミジメな状態で、毎日を過ごしています。

何でもフロリダは、ここ２０数年で一番の花粉が飛んでいるとか。
「風邪引いた・・・」と試合を休んだジェフ（ジェンキンス・外野手）も、
何のことはない、「顔中がうっとおしい！」と言うあたり、たぶん花粉症。
いったいいつ頃から、こんなにポピュラーになってしまったのでしょうか。

以前は「都会人の病気」と思っていた花粉症。
野山を駆け回って、自然慣れしている人はならない、という信念があったため。
毎年のようにこの時期ハナタレになるヨメを、
「都会人は弱いなー」とからかっていたのですが、
ついに今年から、僕も本格的に発症してしまいました。
「目の露出面積が人より大きいから大変ね」と、嫌味を言われています。

アレルギーの薬は多々あれど、薬物に対して敏感になっているだけに、
めったな薬は飲めません。チームのトレーナーと相談して、「これなら絶対に
違反ではない」という薬をちょこちょこ採っていますが、なかなか改善しない。
そこで、最後に頼っているのが「鼻うがい」です。

もともとアナウンサー時代にヨメが習ってきたもので、
ぬるま湯に塩を入れて、それを鼻から吸い上げて、口から吐き出すのです。
温度が熱すぎてもぬるすぎてもダメだし、塩気が少なすぎてもダメ。
この加減が難しくて、何度か「ツーン」というあの痛みを経験しましたが、
うがいと鼻うがい、このセットはかなり効きます。少なくとも鼻腔内の花粉を
洗い流してくれるのですから、やってみる価値はあります。

現在は、鼻うがい専門の薬液も売っているとのこと。
他にも何かいいアイデアがあったら、ぜひともお知らせください。
梅干を額に貼るとか、葱を喉に巻くとか、そんな民間療法でも大いに歓迎。
ただし、このあたりで手に入る「材料」でよろしくお願いいたします。

フロリダ州クリアウオーターにて　田口壮　

2008年3月24日

ビジターでのヤンキース戦。ナイトゲームで、寒くて、そして
とってもおなかがすきました。試合後のクラブハウスに用意されている
食事を、マイナーの選手たちが、一気に食べてしまったのです。

開幕が近づくにつれてベンチの人数が減るため、試合の後半に
選手を休ませる交代要員として帯同している、
若い選手たちです。彼らの食べっぷりを見ていたら、２Ａの頃を思い出しました。

若くて、お金もなくて、クラブハウスで出されるものは、貴重なエネルギー源。
出てくるのは、フライドポテトだけ、といったささやかさでしたが、
それでもエサに群がる鯉のごとく、わーっと寄っていって、群れがほぐれると、
そこにはもう何もない。よくてフライドポテトの数本、ひどいと、端っこのカリカリに
揚がり過ぎたあの硬いかけらが、寂しそうに落ちているのみです。
「野菜はないんか野菜は」などと物申せるような状態ではない、それが
「プロ野球選手」の食事でした。

メジャーのクラブハウスに用意された食事が、彼らの目にどう映るかは、
容易に想像できるところ。「他の人の分も残しておこう」という気遣いなど
できるはずもなく、「あるうちに食べる」というオーラが、身体中からにじみ出る。
それが、マイナー選手の、文字通りの「ハングリー精神」につながっていくのです。
「いつかは俺も、ここでこれをゆったり食ってやる」と。

歳でいったら、２０近くも離れた若い選手たちを、
（いっぱい食えよ、大きくなれよ）と、最後のほうは、父親のまなざしで
見守っていた僕。しかし彼らの身体は、僕よりすでに、はるかにでっかいのでした。

フロリダ州クリアウオーターにて　田口壮　

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