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2008年3月21日 (金)

いけるか、バイオマスビジネス

日本刀の切れ味がすごいというのは、周知一致するところ。竹を一刀両断に切っているのを見るのは、爽快な感じがしますよね。しかし、戦場における実用性があったのかということについては、実はあまり無かったのではないかという意見があります。それと同じように、一刀両断の意見を聞くと、心地よいもの。しかし、世の中、一刀両断に切れるほど、単純ではなかったりする。特に、環境とかエコをテーマにした話題、これは本当に一刀両断出来ない分野だとつくづく思います。

環境とかエコというのが、市場に浸透すればするほど、信用面も希薄になっていく側面がある。そう思いませんか。エコとか、環境とか、そんな文字がついているほど、逆に信用できなかったりすることってあると思うんですよ。

エコって言葉をつければ、市場が信用してくれる、そんな風に未だに安易なPR感覚、便乗感覚でしか、CSRや社会事業を考えていない企業人って多いですからね。今でも、CSRを虚業と思っている人の何と多いことか。まあ、この点については、来月からNNAという冊子で嫌というほど書かせて頂くので、ここではさておき。

言いたいことは、個々の現状を差し置いた情報や理論が、環境問題という分野では、無数に飛び交っているということ。一体全体、どれを信用していいのかわからない。

例えばバイオマス燃料。将来性が期待されている反面、すでにいろんな分野から反対意見も飛び出して久しい。極端な例では、バイオマス燃料開発は、それ自体がODAの対象になったり、投資対象になりやすいので、過剰な開発が進みがちだという意見。

確かに、貴重な森林資源を伐採してまで、とうもろこし畑を作り、バイオマス開発にあてるという例もあったり。

しかし、だからといって、バイオマスを「やっぱり怪しい事業だ!」とばっさりと切り捨てるにはどうかとも考えたりします。

地域によっては、食料に飢えている場所もあれば、余っている場所もある。余っている場所というのは、先進国に限ったことではなく、食料の種類にもよりますが、途上国と称される地域でもありうる話。

余った食料が、瞬時に足りない食料に届けられるような夢のような流通システムが確立されれば、話が早いが、そうもいかないのが現実の社会。先進国の事情が優先して始まった側面の強いCO2排出権ビジネスであるにせよ、それがお金になるというのなら、そこに飛びつきたいのが、途上国側の論理というもの。

例えば、フィリピンにはトゥパトゥパという果物があり、余った部分を何とかできないかということで、バイオマスを開発していたりする。それと同じような例は、たくさんあります。「貴重な食料を」と反対する意見もありますが、実際の流通事情や現場を見れば、それが如何に言葉だけかということがわかるでしょう。ごみにするくらいなら、せめて燃料に出来ないか・・・ということ。

スリランカでも今、お米が余っている状態だったりします。ずっと前から、このお米を何とかできないかという相談を受けていたのですが、最近、香港のバイオマス会社から、その部分をバイオマス化出来る可能性はあるかという問い合わせを受けました。投資はあっても、投機には慎重な香港サイドからの問い合わせには、注目すべきものがあります。

取り扱い可能な生産量や、米の種類にも適正などがありますので、相当な調査と協議が必要となるでしょうが、面白さを感じる事業ではあります。コスト的には相当安くなることについては、確信はあります。

スリランカでは、国連CDMと日本のODAがスクラムを組んでの、CO2排出権ビジネススキームが実施されることになりました。そのせいもあり、今、スリランカではCO2排出権ビジネスセミナーが大流行です。

私も今、野菜の事業でスリランカに関わっていますが、米の加工事業はこの次であると、スリランカ側の事業パートナーとは決定している背景もあり、バイオマスの可能性には正直興味のあるところです。

スリランカの米から製造されるバイオマス燃料やプラスチックなどの二次的加工物がどこまで収益性があるのかということに加え、果たして社会的ニーズがあるのか、クリアすべき課題はたくさんあります。しかし、「食料をバイオマスにしていいのか」ですとか、「環境にはあまり良くない」ですとか、巷にあふれたメディア情報で一刀両断するのではなく、現地の事情をはじめとする現状を自身の目で確かめながら、慎重に対応していきたいと思います。

一刀両断の見解が注目を浴びがちな世相だからこそ、ミクロな事実を拾い上げていくことを怠らない態度、それを大事にしていきたいと考えています。売りたいと思うだけのもの、確実に売れるもの、売るべきだと考えられているもの、商品にもいろいろとあると思いますが、スリランカの米を使ったバイオマスがそのうちのどれなのか、全てに当てはまるものなのかは、巷の環境問題的意見ではなく、あくまでも地道な事前調査、市場調査に基いて判断したいですね。(坂井)

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