チベット問題・・・
本当は、CO2排出権の話をしようと思ったのですが、チベット問題は無視できないと思いましたので、敢えて。
私とチベットの関係を言うと長くなるのですが、長年付き合っている友人が数多くいます。中には、遊牧民なので、特定住所が無くて、村政府まで手紙を送って、あとは村政府の友人に季節ごとの場所を特定してもらって手紙を送ってもらったり。
その友人達の多くはは、チベット自治区の北部に広がる青海省に住んでいます。漢族の友人もいますし、チベット族の友人もいます。
両者は仲良く住んでいます・・・と言いたいところなのですが、実は決してそうではないのです。はっきり言いますが、漢族は、チベット族を嫌っていることが多い。何と言えばいいのか、見下しているんですね。そもそも、文明とは認めていない感じの人が多い。チベット人という言い方は認めないですね。チベット族と言わないと納得しないですし。そもそも中国語でチベット族は蔵族という言い方をするのですが、蔵の発音が不潔を意味するZangと同じ発音ですので、汚い民族という言い方に聞こえてしまう。
では、チベット人はというと、これは文句無しに漢族を嫌っている。私がチベットを訪れたときは、当初は漢族だとみなされて、相当嫌な思いをしました。ところが日本人だとわかると、「大和民族」ということで、同じ漢族を囲む少数民族扱いをされて、一変して親切すぎる扱いを受けることになりました。
不穏な気配は、私が初めて当地を訪れた20年前からとっくに存在したんです。当時、バックパッカーだった私は、そんな場面に何回も直面しました。ただ、どこのメディアも注目しなかっただけです。むしろ、今この時期に記事が大きく出たことの背後を考えたほうがいいのではないでしょうか。あの時期から、特に欧米のNGOは逐一、現地で起こっていた出来事は報告し続けていたわけです。日本のメディアの関心がそこには無かったことは事実です。
とりあえず、ようやくと言うべきか、チベット族と漢族の衝突は、今回、大々的なニュースとしてようやく世界に、いや日本において報道されました。背景には、様々な政治的思惑はあれど、事実がようやく事実として流れることが出来たわけです。そこには、「国境を越えた医師団」やアムネスティをはじめとしたNGOの人間達の地道な努力があったことは否定できません。ただ、何故この時期に大々的に報道されたのか、ということは、やっぱり考えないといけないでしょうね。ニュースソースを買う人間、その報道を推す人間達の思惑・・・。国際政治は、そう単純なものではありませんから。
割をずっと食っているのは、ウイグル人たちでしょう。ウイグル人の友人も、私は相当数います。今でこそ言えますが、かつてBBCの取材陣とともに、ウイグル人の反漢族グループを取材したこともありました。彼らも正直なところ、チベットの方達と似たり寄ったりの境遇にあります。相当数のウイグル人たちが、迫害にあってきましたし、今も同じ境遇にある人達はたくさんいます。
でも、ウイグルの件はまだ話題にはなりません。何故でしょう。
彼らがイスラム教徒であることも忘れてはいけないでしょう。キリスト教徒の人間達にとって、イスラム教徒は未だにテロのイメージが強い方たちなのです。
メディアは報道するのが役目、これはわかります。でも、日本のメディアに対して、宗教や国家間の戦略競争を含む微妙な感覚の理解を期待するのは、やっぱり早すぎるんでしょうか^^;。メディアの人達って、自分達が全てを理解していると思っていますからね。
これ以外でも、結局、国際ニュースというのは、欧米メディアの受け売りが多いのですが、チベット問題についての、そして同じ立場にあるはずのウイグル問題についての知識不足は、正直情けないものがあります。
さて、社会起業家が何が出来るのでしょうか。すでに、この報道が世界に出回っていること自体が、奇跡だと考えられないでしょうか。隠し通せる事実はメディアの前には無いかもしれませんが、私は数多くの命がけのNGOやメディアの方達と現地でお会いする機会がありました。彼らの貢献が無ければ、今回のニュースは都市伝説に近いような扱いを受けたかもしれません。
社会起業家の立場は未だに微妙ですし、批判を受けやすいほどに微弱でもあります。しかし、すでに彼らは結果を出しつつあります。長い目で、そして冷静に彼らの活動をとらえる必要があるのではないでしょうか。
私がスリランカで成し遂げようとしていることも、まだまだ微弱かもしれません。しかし、社会事業というカテゴリーが平和貢献になすべき可能性を信じているのも事実です。予防外交とそして対処外交、この両側面を担える可能性を、社会起業家は抱いている、私は社会起業家の一人として、固くそう信じています。(坂井)
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受信: 2008年3月20日 (木) 04時11分
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このところ、「チベット問題」が日本でも大々的に報道されていますが、それに関連した興味深いブログの記事を見つけました。けっきょくのところ、いくら近代化して経済発展したとしても、その恩恵を受けられない人はいるものですし、恩恵を一定水準以上受けていたとしても、必ずしも「幸福」だとは限らないわけです。また、近代化・経済発展の陰で、犠牲になる人々もけっして少なくありません。... [続きを読む]
受信: 2008年3月24日 (月) 07時16分
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