全日本空輸(ANA)の山元峯生社長は毎日新聞のインタビューに応じ、納入が遅れている米ボーイングの新型中型機787について、損害賠償請求する方針を明らかにした。日本航空(JAL)など世界の航空会社にも同様の動きが広がる可能性がある。一方、三菱重工が事業化を目指す国産初のジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」については期待を寄せつつも検討中とし、近く最終判断する意向を示した。
燃油高が続く中、燃費性能の優れた787の納入が遅れたことについて、山元社長は「08年中はもう入ってこないと思った方がいい。頭が痛い」と述べた。ANAは08~11年度の中期経営計画で機材調達の変更を余儀なくされた。米ボーイングに対する損害賠償請求は「当然、その話になる。燃費効率で収益に貢献するとはじいていたのだから」と述べ、納期が決まれば具体的な手続きをとる考えを示した。
MRJについては「日本の需要より、世界市場で売れる飛行機を作ってほしい。10年たって部品がなくなるというのでは困る」とくぎを刺した。購入判断には、部品供給などの条件の見極めが重要との認識を示した。社内の機種選定委員会から近く答申を受け、最終判断する。
また、10年10月に供用開始が予定される羽田空港の国際線の発着枠について「(国土交通省が予定する)3万回といわず6万回に増やしてほしい」と注文をつけた。羽田を拠点に近距離の国際線を拡充すべきだと主張している。【後藤逸郎】
毎日新聞 2008年3月26日 2時30分(最終更新 3月26日 2時44分)