占領下の昭和24年に出された国公立小中学校の靖国神社訪問などを禁じた文部事務次官通達をめぐり、教育委員会の一部で「今も効力を持っている」と誤解されている問題で、渡海紀三朗文部科学相は27日、参院文教科学委員会で同通達が「既に失効している」と明言し、「今後、誤解が生じないよう、適切に対応したい」と表明した。衛藤晟一氏(自民)に対する答弁。
同通達には、児童生徒の神社仏閣など宗教的施設への訪問で「礼拝目的」を禁じる内容に加え、「靖国神社、護国神社および主として戦没者を祭った神社を訪問してはならない」とする項目がある。今回、同項目について失効が明言されたことで、児童生徒の靖国神社訪問や、戦没者追悼行事への参加の障害がなくなることになる。
衛藤氏は「戦没者追悼の中心的施設の靖国神社に学校として訪問し、わが国の戦没者追悼のあり方を児童生徒が知る機会を奪われてきたのは、大変な損失だった」と指摘。
渡海文科相は「通達は戦後の特殊な状況下で作成されたもので、現在において靖国神社などを他の神社と異なる扱いにする理由はない」と述べた。
また、学校で靖国神社など特定の宗教的施設について批判的な授業を行うことについても、「国公立学校は宗教に対する援助や圧迫などに当たる活動は禁止されている」として、「差別的な扱いは解釈を押し付けることになり、好ましくない」との認識を示した。
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