宮崎

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だれやみ日記:恐怖の医師不足 /宮崎

 県医師会とマスコミとの勉強会で先日、衝撃的な数字を示された。医師不足が「まさかこれほど深刻とは」と驚いた。

 医師の数は増えているのに、なぜ地方では医師不足なのか。要因の一つに新医師臨床研修制度がある。新人医師には2年以上の臨床研修が04年に義務づけられた。ただし研修先は出身大学でなくても良いため、最新機器も医療スタッフもそろう都市部の民間病院に研修者の人気が集中した。

 ところが地方の医学部卒業生が、こぞって都会を目指した結果、母校の大学病院に欠員が生じてしまった。困った大学医局は、これまで卒業生を派遣してきた郡部の医療機関から勤務医を引き揚げ始めた。つまり宮崎大の卒業生は都会を目指し、穴の開いた大学医局は郡部から勤務医を引き揚げ、郡部からは医師が消えてしまうのだ。

 急ピッチの高齢化で県内の年間救急搬送は、この10年で約2万3000人から1万人も増えた。一方、県内の医師は約2550人と10年前から1割増えたが、高齢化の速度に追いつかない。10年前に一晩平均50人だった宮崎市夜間救急センターへの搬送は、現在65人に増えた。医師が比較的多い宮崎市内でさえ、若い医師が足りず、40代の医師が月に4、5回の当直をこなさざるを得ない。

 しかも20代の医師は10年前から33%減り、30代も12%減った。新人医師が地域医療を見限って都会へ出て行くため、県内では医師の高齢化と激務化が進み、ますます敬遠される職場になる。急患の「たらい回し」も防げない。10年先の状況を想像するとゾッとする。

 医師会側の説明が終わると、会場はしんとしてしまった。「だから記事で県民に危機を訴えて下さい」と筆者も言われたが「ホラー(恐怖)記事になりそうです」という言葉しか出てこない。いや、人命がかかっている。道路建設以上にどげんかせんといかんのだが。<宮崎支局長・大島透>

毎日新聞 2008年3月24日 地方版

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