「いいちゃん、何かスポーツない?」
週末が近づくと、紙面計画を立てる社会部デスクから、こんな声が掛かります。三月は岡山勢の活躍が相次ぎ、紙面をにぎわす運動ニュースが多かったように思います。
岡山シーガルズはバレーボールV・プレミアリーグ初の四強入り、Jリーグ昇格を目指すファジアーノ岡山は日本フットボールリーグ(JFL)開幕三連勝。注目の名古屋国際女子マラソンでは中村友梨香選手(天満屋)が初優勝、北京五輪代表に輝きました。
最後の五輪切符を争う名古屋国際は、まさに百花繚乱(ひゃっかりょうらん)でした。シドニー五輪金メダルの高橋尚子選手、アテネ五輪七位の坂本直子選手(天満屋)、ベテラン弘山晴美選手、世界選手権代表組ら強豪ランナーが集結。誰が勝つか分からないサバイバルレースになりました。
互いにけん制し合いスローペースとなった前半、「あきらめなければ夢はかなう」の信念で挑んだ高橋選手がまさかの失速。後半はスパート合戦になり、けがに苦しみ続けた坂本選手も二十八キロすぎ、前に出ました。「勝てる自信はなかったけど、私もここにいるってアピールしたかった」の言葉が胸を締め付けます。難しいレース展開の中、中村選手が初マラソンとは思えない冷静さで勝負どころを見極め、残り十キロでロングスパート。一躍、時の人になりました。
女性ランナーが繰り広げた華やかなレースに隠された数々のドラマ…。感動と切なさが入り交じる四二・一九五キロでした。
(運動部・飯田陽久)