25日午後11時5分ごろ、岡山市駅元町のJR岡山駅の山陽線ホームで岡山県倉敷市笹沖、県職員、假谷国明さん(38)が男に突き飛ばされて線路に転落し、入ってきた福山行き下り普通電車にはねられた。別のホームにいた岡山県警鉄道警察隊員が列車の警笛に気付いて駆け付け、ホームにいた大阪府大東市の今春高校を卒業した少年(18)が「自分が突き落とした」と認めたため、殺人未遂容疑で現行犯逮捕した。假谷さんは病院に搬送されたが、全身を強く打っており約5時間後に死亡。県警岡山西署は殺人容疑に切り替え調べている。少年は「人を殺せば刑務所に行ける。誰でもよかった」などと供述しているという。
調べでは、少年は25日夜、岡山駅で電車がホームに入ってきた際、ホームの線路寄りに立っていた假谷さんの背中を突き飛ばし、線路に落とした疑い。「少年が假谷さんを突き落とした」との目撃情報が複数あった。少年と假谷さんに面識はなく、少年は岡山に初めて来たという。
少年は「人を刺してやろう」と、兵庫県姫路市の網干駅で私鉄からJR線に乗り換え、同日午後7時ごろ、岡山駅に到着。駅の外へ出るなどしたが決心がつかず、140円区間の切符を買って再び駅構内に入った。ホームで電車待ちの列の先頭にいた假谷さんに左後方から近づき、背中を無言で突き飛ばしたとみられる。逮捕時、少年は白いシャツと黒のズボン姿。ショルダーバッグに、現金3560円と自宅から持ち出した果物ナイフ(刃渡り12センチ)が入っていた。
少年は今春、大阪府北部の府立高校を卒業したばかりで、両親と兄の4人家族。25日朝、家出したとみられ、同日午後8時ごろ家族から大阪府警に捜索願が出ていたという。
假谷さんは県の道路建設課主任で、4月1日付で異動予定だったという。同僚らの話では、25日は午後10時ごろまで残業し、退庁。帰宅のため福山行きの電車を待っていた。【山崎明子、植田憲尚、石戸諭、松井豊】
毎日新聞 2008年3月26日 東京夕刊