【ワシントン=山本秀也】米民主党の大統領候補指名をめぐり、外交・安全保障分野でただちに政権を担える「経験」を強調してきたクリントン上院議員は25日、ファーストレディー時代のボスニア訪問について、「狙撃されながらの着陸」と述べた最近の遊説発言を「誤りだった」と取り消した。「弾の下」をくぐった経験を大げさに自慢したかったようだが、当時の記録映像を検証した米メディアに矛盾を突かれ、株を下げてしまった形だ。
問題となったのは、クリントン前政権時代の1996年、大統領だった夫とともにボスニア・ヘルツェゴビナを訪問したことに関する今月17日の発言。クリントン氏は、「狙撃されながら着陸したことを覚えている。歓迎式典の代わりに私たちは姿勢を低くして米軍基地へ向かう車に飛び乗った」と、劇画さながらに述べてみせた。
しかし、米メディアが当時の資料映像を検証したところ、専用機が着陸したボスニアのツズラ空港では、歓迎式典で現地の子供と談笑するクリントン氏や、娘のチェルシーさんの様子などが残っており、まったくの作り話だったことが証明された。
クリントン氏から「経験不足」を批判され続けてきたオバマ上院議員の陣営では、このボスニア訪問当時に欧州に派遣されていたペンシルベニア州兵の将官を招いた記者会見を同州で開催。「外遊中のファーストレディーや大統領令嬢を敵兵の狙撃の危険にさらす事態があれば、軍首脳の責任問題になっていたはずだ」として、クリントン氏への反撃に加わった。
矛盾を突かれたクリントン氏は25日、ペンシルベニア州で「間違えたのよ。私だって人間なんだから」と述べるなど、開き直り気味の釈明を繰り返した。
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