ジョブズの目標はWal-martを抜いて業界一位になるなんて低いところにはない
「BSやCSができたときや、キャプテンシステムや音声多重放送など、新メディアが出てくるたび、『クリエイターの仕事が増えて引く手あまたになると言われたが、過去1回も、そんな経験はない」(堀さん)...堀さんは「コンテンツのデフレスパイラルが起きている」と指摘する。「例えばテレビの場合、設備投資が増した分、制作費が落ち、番組は横並びになる。しかしスポンサーは数字(視聴率)を求めるから、“分かりにくい番組”が淘汰される。分かりやすく作るからつまらなくなる」【「日本のコンテンツ、ネットのせいで沈む」とホリプロ社長 (1/2) - ITmedia Newsより引用】
堀さんの言っていることはとても良く理解出来る。ネットに限らず、コンテンツの流通チャネル(メディアと呼んでも良い)が増えると、チャネルごとの絶対量が減るために、従来型の数で稼ぐ広告ビジネスがなりたたなくなるのだ。
「巨人・大鵬・卵焼き」と言われるぐらいにほとんどの日本人が同じ方向を向いていた時代に誕生したテレビとそれに付随する放送・コンテンツビジネスが、ネットの時代に直面して悩むのは当然と言えば当然。
結局のところは、(ホリプロなどの)コンテンツプロバイダーに対して「儲かる仕組み」を提供しなければ話にならないということ。ニコニコ動画が消費者がテレビ局から盗んで来たコンテンツで盛り上がっている限りは「すきま産業」でしかありえない。コンテンツプロバイダーやテレビ番組の制作会社が「テレビ局とビジネスをするよりこっちの方が儲かるじゃん」と思えるビジネスを作らなければダメだということ。
そういうところまで踏まえた上でiTunes storeをもう一度見直してみるとAppleの戦略が見えて来る。iTunes storeは今やWal-martに次ぐ世界第二位の音楽流通業者だが、ジョブズの目標はWal-martを抜いて業界一位になるなんて低いところにはない。狙いは当然、iTunes store単体でCD全部の売上げを抜くこと。そしてその次のターゲットはDVD。ジョブズはiTunes storeを「CD」や「テレビ」に匹敵するメディアに育てようとしているのだ。
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