特集/全予測「働き方、生き方、稼ぎ方」
PART4.マネー篇 - 8
給料が頭打ち。運用、副業、転職、どこに活路を見出すべきか
複数の国の金融商品を
資産に分散する
給料は頭打ちだというのに、食料品や日用品の値上げが家計を直撃している。そこで少しでも収入を増やす手段として、運用、副業、転職、起業などを検討する人も多いだろう。
この4つの方法のうち最もリスクが少ないのは、実は意外にも運用だ。運用リスクを恐れる人は多いが、給料を確保しつつ、余剰資金を運用してリターンを得るのは、起業や転職に比べれば大したリスクではない。私がおすすめするのは、国際分散投資という複数の国の金融商品に資産を分散する方法だ。そうすることで、リスクを小さく抑えられる。
私が海外の金融商品をすすめるのは、もう日本の成長が期待できないからだ。なぜなら日本はこれから人口が減っていく。やはり経済は、食べたり買ったりする人がたくさんいないと発展しない。しかしあえていうなら、そのなかでも有望なのは資源、商社、食糧などに関連する商品だろう。これからは世界的に食糧が不足してくる。穀物をつくるには大量の水が必要である。
しかし穀物の大量生産をめざすアメリカでは、地下水のくみ上げすぎで地盤が下がるくらい水が不足し始めている。ということは、ある一定量は食糧を生産できても、増産が難しい。これから中国が豊かになるとどんどん食糧を消費するようになるが、増産できないのだから消費もできず、やがて中国の経済成長も頭打ちになると予測できる。
このように資源の有無で世界経済が大きく左右されることを考えれば、しばらくは資源国への投資が有望だ。たとえばオーストラリアは資源が豊かな国で、しかもいま金利が6%もある。経済が順調に推移するだろうから株価も上がるだろう。また、カナダも資源が豊富な国で、水を電気分解してつくった水素を輸出する構想がある。また、オイルサンドという石油を含む土の埋蔵量も世界2位である。
収入を増やす方法の二番めの副業も、会社というメーン収入を確保したうえであれば、運用と同じくらいリスクは低い。起業は副業で成功してからでいい。みな初めは大きな絵を描きたがるが、それを実現させられる人はごく一握りだ。まずは副業で小さく始めてみることだ。
副業でできる仕事を探すなら、インターネット関連が一番いいだろう。なんといっても低コストなのが魅力だ。また、かつてのアフィリエイトのような新商売を人より早く発見すれば、大もうけできる可能性もある。
三番めの転職は、人にもよるが、成功するのは10人中、2人か3人にすぎない。よくあるのが、給料が安いとか上司との関係がよくないとか、不満を抱えて会社を移るケースだ。そんな理由で転職しても、結局は同じ不満を抱えることになる。転職を繰り返す人を企業は採用したがらない。目先の給料アップに釣られて転職したはいいが、生涯賃金が下がっては意味がない。
これからはコンピュータでできる仕事や、中国やインドにアウトソーシングできる仕事はどんどんなくなっていく。しかし、ビジネスのアイデアを出す人はどんなときでも必要とされる。それから営業職など「人対人」のビジネスがなくなることはない。交渉力やコミュニケーション能力を持つ人は、今後ますます重宝されるだろう。
あらゆる手を打って、収入を増やす努力も必要だが、もう右肩上がりの成長は期待できない。節約も大事なのは、いうまでもない。
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