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離島の医師不足解消に挑む 研修医から行政官に転身
医師不足などに悩む離島医療の現状を変えたいとの思いから、臨床医としての将来を捨て、行政官への転身を決めた若者がいる。長崎県の五島列島で育ち研修医としても勤務した医師の坂上祐樹さん(26)。4月から厚生労働省の医系技官として専門知識を生かした医療政策づくりに挑む。
厚労省によると離島勤務の経験がある医師の転身は珍しいという。
幼少期を過ごした五島列島北部の小値賀島には、島の暮らしに溶け込み、島民の健康を守る優しい医師がいた。今もその姿を思いだす。「育ててくれた島の人に恩返しがしたい」という気持ちが芽生えたとき、自然に医師を目指していた。
医系技官を知ったのは外科医を目指していた長崎大医学部時代。「医師として離島に行っても救える命には限りがある。国のシステムを変えれば何万人もの人の未来が救える」と思った。卒業後、研修医として五島列島に勤務して、思いはより強くなった。
離島では研修医が医療の最前線を担うことも多いが、そのまま勤務するケースは少ない。離島の高校生が医師になって地元に戻るのを助けるような奨学金制度の設立など「長期的な視野も必要」と坂上さん。四月からの厚労省勤務では、あくまで離島の側に立つことで生まれるアイデアを大事にしたいと考えている。