四日市市立四日市病院で二〇〇六年一月、低血糖の同市内の男性に血糖値を下げるインスリンの投与を指示するミスがあり、男性が脳の一部に障害を負っていたことが分かった。男性の家族が二十五日記者会見し、明らかにした。
家族によると、男性は〇六年一月二十日、低血糖のため自宅で起き上がれなくなり、救急車で同病院に運ばれた。男性は以前から糖尿病の治療を受けていたことから、同病院の二十代の研修医が救急隊に指示、家族がインスリンを注射した。
病院到着後、低血糖による症状と分かって治療したが、男性が話せるようになったため、別の四十代の医師が帰宅させた。男性は翌日、意識不明となり同病院に運ばれたが、脳に後遺症が残り、現在も普通に会話できないという。
病院側はミスを認めて示談金を払うとともに、二人の医師に口頭で厳重注意した。
家族によると、男性の血糖値は〇五年九月の検査で既に低い傾向を示していたが、医師は気付かずにインスリン注射を続けさせたといい、家族は「なぜ、こんなにもミスが重ねられたのか」と話している。
同病院は「血糖値を測る検査部門と医師との連絡体制の強化や、救急搬送されてくる患者の容体のより慎重な観察に努め、再発防止を図りたい」としている。 (土屋晴康)
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