《らっぱをもって》
1929年 油彩・キャンバス 65cmx54cm
愛の遍歴を重ねたローランサンは生涯子供を生むことはなかったが、子供を描いた絵を多く残している。彼女の伝記を書いたフロラ・グルーは子供のころ幾度なくモデルとなり、彼女によれば絵を描くローランサンは、時間を越えて回想にひたりながら歌うように制作にあたったという。エキセントリックな面も持ち合わせていた彼女は、子供の心を持ち続けた大人であり、それが母がわが子を見る目線とは少し異なる、少女の美しさを際立たるような作品を生み出したのだろう。砂糖菓子のような繊細さと美しさをもつこの作品は、この時期のローランサン作品の中で最も充実したものとして知られる。