医療機関お産休止 国の認識に甘さ、抜本対策必要今年からお産を休止したり、制限したりすることを決めた医療機関が、全国で77カ所にも上ることが25日、明らかになった。厚生労働省が緊急に医師を派遣して支援を予定しているのは、このうち7カ所にすぎない。地域医療の崩壊を防ごうと、多くの自治体が産科医確保に躍起になっている実情をみれば、医療関係者から「国の認識は甘く、根本解決に程遠い」と批判の声が上がるのは当然といえよう。小手先ではない、実態を見据えた抜本的な対策が求められている。 そもそも産科医不足の背景には、長時間労働や高い訴訟リスクなどがあるとされる。国は診療報酬での優遇措置や、出産事故で医師の過失がなくても患者に補償する制度など、矢継ぎ早に対応を打ち出すが、効果の程は不透明だ。国の医師派遣制度に対しても「そもそも派遣元の医療機関でさえ医師が足りない」との声があり、場当たり的な印象も否めない。 産科医確保は、小児科、救急と並ぶ緊急の課題だ。医師数を増やすため、人材育成や労働環境の改善などに必要な予算を投入するなど、国は対策に本腰を入れる時期に来ている。(解説) 厚生労働省が「お産継続は困難」とした7医療機関についての対応策は次の通り。 【対応策を決定】 県立南会津病院(福島)=4月から近隣機関の協力で妊婦健診を継続▽伊那中央行政組合伊那中央病院(長野)=4月から信州大が医師派遣し、お産を継続▽飯田市立病院(同)=4月から信州大が医師派遣し、お産を継続。助産師も2人増員▽公立久米島病院(沖縄)=4月から県立病院が週1回医師を派遣し、妊婦健診を継続 【お産休止までに対応策を検討】 国立病院機構長野病院(長野)、藤枝市立総合病院(静岡)=文部科学、防衛両省や大学などが協力し、医師派遣または近隣医療機関による対応を検討 【対応策を調整】 富士重工業健康保険組合総合太田病院(群馬)=県、大学、病院間で対応を検討
2008年03月25日火曜日
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