伊那中央行政組合議会の3月定例会は25日開き、看護師確保のための奨学資金制度の創設や、産婦人科の外来患者増加に対応するための診療棟の増築、電子カルテ導入のためのシステム整備などの取り組みを盛った2008年度伊那中央病院事業会計予算など4議案を原案通り可決した。
看護師確保のための奨学資金制度は、看護学校の学生を対象に募集し、月額5万円を貸与する予定。卒業後、同病院で貸与期間分を勤務した場合は免除する。貸与期間は最高4年間。事業費600万円を計上した。
同病院の看護師数は292人(1月1日)。2月から満床状態が続き、医師はもとより看護師の確保にも苦労している。診療報酬が増額される、患者7人に対し看護師1人の24時間看護体制へ早期に移行し、増収も図りたい、としている。
病院事業会計は、収入の事業収益を前年度当初比6.9%増の90億6800万円、支出の事業費用は4.8%増の98億7300万円とした。
産科について小坂樫男組合長は、4月から産科医が1人増の5人体制となるため里帰り出産について「特別な事情を市町村で認めた場合、病院で受け入れ可能な場合に限り受け入れ、木曽病院など近隣各地区の受け入れ可能な病院を紹介したい」と述べた。
「特別な事情」の基準を市町村の担当者で検討しており、近く公表する予定。昭和伊南総合病院(駒ケ根市)の分娩(ぶんべん)休止の影響で、伊那中央の分娩取り扱い予定は3月100件、4月102件、5月も既に95件入り、医師を増員しても「月100件がめいっぱい」という中で、受け入れは極めて厳しそうだ。
救命救急センターの専従医師が4月から1人減の3人となり、24時間の救急体制が確保できなくなる状況も説明した。当面は「信大の非常勤医師の派遣回数を増やして乗り切りたい」(事務局)としている。
センターの運営は昨年度決算見込みで1億3000万円余の赤字で、救命救急センターに指定されると約1億円の収入増が見込まれるとした。