市営住宅のペット禁止巡り住民に波紋
北海道のある市営住宅でペットの飼育禁止をめぐり、飼い主の高齢者が選択を迫られています。ペットを手放すか、それとも出て行くのか。今月末を期限とする市の最終通告に住民は苦悩しています。 北海道三笠市の市営住宅。ネコのハナコと18年一緒に暮らしてきた高橋ヨシ子さんに1通の手紙が届きました。 「3月31日を過ぎても、ペットを飼育されている方につきましては、直ちに市営住宅の明け渡しに関わる手続を始めることを申し添えます」 決断を迫る三笠市からの最終通告。ひとり暮らしの高橋さんにとって、ハナコはかけがえのない支えです。 「ひとりで家の中にいると、朝から晩まで黙っていなければいけないでしょ。どうしてこんなことになったのかな」(高橋ヨシ子さん) 三笠市では3年前、市営住宅でペットの飼育を禁止するという規則を初めて明文化しました。 これまでに、ペットを手放して市営住宅に住むことを選んだのは65世帯。ペットを連れて市営住宅を出ていったのは35世帯。そして、今もペットと暮らす101世帯が今月の末までに結論を出さなくてはなりません。その多くはお年寄りです。 「動物も人間も同じだと思う。死ぬまで飼ってやりたいと思うから」(高橋ヨシ子さん) 今回の、ペット禁止の根拠となったペット飼育の実態調査。3年前、三笠市が市営住宅の住民を対象に行いました。1773世帯のうち質問に答えたのは1042世帯。そのうち、過半数の683世帯がペットの飼育に反対したのです。 「すごいんだもの。ペットがウンコしたりオシッコしたり。誰も片づけないし」(市営住宅の住民) 反対が多数を占めたアンケート。しかし、一度は反対と答えた人たちも、ペットと暮らすお年寄りの姿を見て、今になって態度が変わる人も出てきました。 「今まで飼っていたペットを頼りにして生きているから、それを放せというのはかわいそう」(反対と回答した人) 「年寄りが多いから対応を考えても良いのでは」(反対と回答した人) 一方、三笠市は・・・。 「すでにペットを手放した人もいて今の時点で方針を変えるのは不公平。ペットを飼っている住民には約束を守っていただけることを信じています」 かつて炭鉱で栄えた三笠市。市営住宅の中にはもともとペットの飼育が認められていた炭鉱の住宅だったところもあり、問題を複雑にしています。 「本当に考えると頭がおかしくなる。市長の言う事もわかります。でもあえて(飼わせてと)お願いしたい」(高橋ヨシ子さん) 数だけではとらえる事ができない住民の意見にどのように向き合うのか。物言わぬペットたちが問い掛けています。(25日18:13)
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