現在位置:asahi.com>政治>地方政治> 記事

橋本・前高知県知事ら2千万円を県に返還へ 地裁で和解

2008年03月25日22時47分

 高知県が同和対策事業の一環として縫製業協業組合「モード・アバンセ」(同県南国市、倒産)に不正融資して焦げ付かせた問題をめぐり、市民オンブズマン高知のメンバーが橋本大二郎前知事ら当時の県幹部10人を相手取って融資額約26億円を県に返還するよう求めた訴訟が25日、高知地裁(新谷晋司裁判官)で和解した。

写真

和解成立を受け記者会見する橋本大二郎前知事=高知県香美市土佐山田町宮ノ口で

 橋本前知事らが、一連の問題について「深く県民に陳謝」し、損害の穴埋めの一部として計2000万円を県へ支払うことなどで合意。このうち、橋本前知事が1000万円を負担することになった。公的融資で焦げ付きが生じた場合に、首長側が一部補填(ほてん)することを受け入れる異例の内容で、今後、他の自治体の融資をめぐる政策判断にも影響を与えそうだ。

 「モード・アバンセ」に対する県の不正融資は00年3月に表面化し、市民オンブズマン高知側が00年6月に提訴した。

 訴えでは、不正融資の経緯について「事業計画を十分に審査しなかったうえ、県の規定に反して当時の副知事が決裁、償還を先送りするなどしたため、貸付金の償還が不可能になった」と元県幹部らの責任を指摘。橋本前知事については、「監督責任がある」としていた。これに対して、橋本前知事側は「公益目的の融資で、償還は可能との認識だった」などと主張していたが、同地裁の勧告を受け、双方が今年1月から、和解に向けた協議を進めていた。

 和解成立を受けて橋本前知事は、報道陣に対し、「改めて県民のみなさんに深くおわび申し上げる。事件を風化させることなく、これを教訓材料として、行政の透明化に取り組んでもらいたい」と話したが、自身の責任については「一私人として申し上げる立場ではない」と明言しなかった。

 県経営支援課によると、貸付金約26億4000万円のうち、同組合の工場や土地の売却などで今年2月末までに回収できたのは、わずか約1億4000万円のみ。残りの約25億円については回収できる見込みはほとんどないという。

 尾崎正直知事は「個人の問題に矮小(わいしょう)化してはいけない。組織の問題としてとらえて、組織として反省する姿勢が必要だ」と述べた。今後、「県民に対するおわびの気持ちを示す」ために、今回県に支払われる2千万円とは別に、県職員から「カンパ」を募ることを検討しているという。

この記事の関連情報をアサヒ・コム内から検索する

PR情報

このページのトップに戻る