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「桜の三大名所」奈良・吉野山、花見客の高齢化で転落死相次ぐ (1/2ページ)
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「桜の三大名所」の一つとして知られる世界遺産、吉野山(奈良県吉野町)で近年、高齢の花見客の転落死や急病が相次いでいることが分かった。全国から格安バスツアーで入山し長時間歩いて観桜するため、身体的な負担が高まっていることが背景にあるとみられる。事態を重くみた地元は車いすを増やしたり今年初めてAED(自動体外式除細動器)を配備するなど、花見シーズンを控え対策に追われている。
吉野山の桜は約3万本。山すそから順に「下千本」「中千本」「上千本」「奥千本」と続き、いずれも一目で1000本が見えることから「一目千本」と称されてきた。
人口9300人の吉野町に訪れる花見客は例年30万人。関係者によれば、このうち7割は高齢者だといい、近年は格安代金による日帰りバスツアーが主流になっているという。
ツアーの中には東京を深夜に出発して早朝に吉野へ着く「弾丸ツアー」も。下千本の駐車場で弁当を手渡され、上千本まで山道を1時間以上歩いた上、弁当を食べる余裕もなく午前11時には東京へとバスに乗り込んで去っていくという。
また、吉野の桜は山桜のため、花見は都市部で行われているようなシートを敷いて酒や料理を楽しむスタイルでなく、山道を歩きながら急斜面に咲く桜を見渡すことになる。
こうした中、2005年の花見シーズンには高齢の花見客3人ががけから転落するなどして急死。06年は同様に2人が死亡した。07年は死者は出なかったものの、急病人が増えたという。吉野広域行政組合消防本部によると、吉野山での救急搬送は例年4月、各十数件あり「その多くが花見客」(消防本部)としている。
地元では今年から、これまで2台しかなかった車いすを5台に増やしたほか、初めてAED4台を購入した。