お笑い博士誕生--。筑波大大学院(茨城県つくば市)の学位記授与式が25日あり、笑いが糖尿病患者の食後の血糖値上昇を抑え、特定の遺伝子を活性化させることを解明した国際科学振興財団の主任研究員、林隆志さん(51)に学術博士号が授与された。「笑いと遺伝子」研究の博士号は世界初だという。
実験で、同大農林学類卒の林さんは吉本興業と組み、大学教授の単調な講義と漫才を聞いた糖尿病患者の食後の血糖値を比較した。その結果、漫才で笑った方が上昇を抑える効果があった。人間の遺伝子約1万9000個から、笑いで働きが大きく変化する遺伝子23個も見つけた。
同大准教授(成人看護学専攻)の妻、啓子さん(55)は笑う時の顔の筋肉をストレッチすることで、笑ったときと同じリラックス効果があるとする「笑(え)み筋体操」の考案者の一人で、臨床の場で夫を支えた。
林さんは「実験では50、60代の患者が東京・新宿で若者に人気の漫才を聞いて笑わなかったこともあった。笑いが体にどういう影響を与えるか研究を加速させたい」と話している。研究が進めば、医師から薬の代わりに「笑い」が処方される時代が将来訪れるかもしれない。【石塚孝志】
毎日新聞 2008年3月25日 22時28分