2008年03月25日 更新

田中邦衛が5年8カ月ぶりドラマ主演!フジ系「鯨とメダカ」

 俳優、田中邦衛(75)が5月放送のフジテレビ系スペシャルドラマ「鯨とメダカ」に主演することが24日、分かった。田中のドラマ主演は平成14年9月放送の同局系「北の国から 遺言」以来5年8カ月ぶり。「名もなく貧しく美しく」などで知られる名匠、松山善三監督(82)の原案をもとに、老人と女子中学生の世代を超えた心の交流を描く。共演は志田未来(14)。

 松山監督が原案となる台本を書いたのは5年ほど前。街中で女子中学生たちの会話を耳にしたことがきっかけだった。監督は「自分とは隔絶された世界だと感じました。しかし逆にそのことによって、10代の少女と私のような世代の人間がうまく心を通わせることができれば、そこから何か新しいものが生まれるかもしれないと思ったのです」と振り返った。

 田中演じる「鯨とメダカ」の主人公は、戦後裸一貫で商売を立ち上げ、クルーザーの製作会社を成功させた75歳の社長、二宮茂。ある日突然、息子の副社長(高橋克実)のクーデターにあい、社長の座を追われる。そんな茂が浅草のせんべい店の孫娘、15歳のサチコ(志田)と出会い、前向きに生きていくきっかけをつかむ。

 2年前に松山監督の原案を目にした浅野澄美プロデューサーは「75歳の主人公がいきいきと描かれる物語の運びにひきつけられた」といい、「高齢を理由に会社を追われ、後の人生に悩む孤独な社長と、未知の人生に悩む女子中学生という取り合わせがおもしろい」とドラマ化を決意。松山監督の監修のもと、脚本家の樫田正剛氏と何度も改訂を重ね、今月11日に撮入した。

 「前向きに生きる75歳を演じていただくのは田中さんしかいない」という浅野氏の出演依頼に、「僕にできるんでしょうか?」と答えた田中。脇役でのドラマ出演はここ数年の間にあったものの、主演は出番が多く想像以上にハード。特に成功した社長の役のため、多い日で7回もあった衣装替えには驚いていたという。

 10代と70代という60歳の年齢差、性別の違い、血縁関係がない他人同士という2人の友情、心のつながりをどう描くのかが、ドラマの成否の大きなポイントになりそう。田中は「全力で頑張ります」と31日のクランクアップに向け、ラストスパートをかけている。

★浅野プロデューサー、志田にゾッコン

 田中の60歳年下の“マブダチ”となる志田について、浅野氏は「若いながらも、ベテラン俳優にまじっても埋もれない、たぐいまれなる演技力を持つ」と全幅の信頼を寄せる。ほかに共演はサチコの祖母役に八千草薫(77)、母親に余貴美子(51)ら。