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図書室39 評者 佐伯邦昭 掲載2008/03/18

 

 

雑誌とインターネットの関係について 著作権かマナーか

問題の雑誌記事

航空ファン4月号 発掘日本航空史 第4回:日本民間輸送機の事故写真 
            写真提供:杉山弘一、田村俊夫 解説:田村俊夫

 

目 次

  1 問題の発端  
2 文林堂からの回答
3 文林堂の回答への考え方
4 皆さんのご意見 (到着順 黄色は佐伯のコメント

 

1 問題の発端  

日替わりメモ376番 2008/03/05から

○  何をやってもいいのか

 或る人から航空ファン4月号に調査研究コーナーの写真がそのまま使われていますよとの連絡がありました。佐伯さんが了解してのことですか?というわけです。

 知っています。調査研究コーナーの次の写真がそのまま載りました。当方への連絡はありません。

インターネット航空雑誌ヒコーキ雲調査研究コーナーに発表した日付と表題

航フ4月号に載った同じ写真
06/09/01 66 ダグラスDC-2 J-BBOT 阿蘇号の事故 関連情報も読み取る 4枚
06/09/09 68 スーパー ユニバーサル旅客機の 事故 2件 2枚
06/10/20 71 三菱キ21 重爆撃機改造貨物輸送機 箱根号 付 高尾号の水没事故写真 4枚

 少し悲しいですね。航空雑誌がインターネットを意識して編集すべきであるという私の主張は、皆さんご承知のとおりですが、相手の立場を無視したようなやり方で編集しなさいと言った覚えはありません。

 こちらが雑誌の情報を使うときには出典を明記せよと求められます。当然のことです。ではインターネットに載った画像などを雑誌に載せるのは勝手なのでしょうか。大筋において調査研究コーナーの記事が下敷きにされているのに、『印刷物に未発表』と断っているのを唯一の逃げ口にしているみたいです。

 この場合、写真所有者の杉山さん本人が提供者として明記されているので法的な問題は起きないにしても、雑誌編集者として道義的には如何なものでしょうか。インターネット航空雑誌ヒコーキ雲からヒントを得て同じ材料を使って、より広い読者に新たな観点から情報を提供するという趣旨は大変結構ですが、ほぼ同じような内容の編集をするのなら、相手の立場というものに斟酌があってもいいと思います。

 上記、3つの調査研究コーナーを掲載するに当たっては、ただ写真を載せたのではありません。憚りながらかなりの参考書を漁り、一生懸命に考えて解説をつけ、Fさんらから指摘のあった数点は書きなおすなどして、正確を期しました。今の日本の航空史レベルでは高度な水準にあるものと自負しています。

 航空ファン4月号 発掘日本航空史 第4回:日本民間輸送機の事故写真 (写真提供:杉山弘一、田村俊夫 解説:田村俊夫)の解説を読みますと、大筋で私の解説を踏襲し、更に新たな事実も書き加えられています。私は、3つの調査研究コーナーの末尾で次のように呼びかけています。   
   ●  残念ながら、この続きの写真はありません。皆さんの推理をお願いします
   ●  この事故の時期や場所の情報をお知らせください
   ●  
この写真についても、時期や場所等に関する情報を求めます

 当然のことながらインターネット航空雑誌ヒコーキ雲上での研究の継続を期待してのことです。航空ファン誌上で新たな事実が書き加えられようとは夢にも思っていませんでした。

 せめて、一言、このように企画しますよといった断りが執筆者からも編集者からも欲しかったですね。

 私の言い分が正しいかどうか、どうか皆さん、航空ファン4月号のp84からp87までと、当方の 3本を読み比べてみて、判断をしてください。

 まあ、こうは言いましても、編集者や執筆者は、ちっぽけなサイトよりも権威ある月刊雑誌で公開することの方がどのくらい有益か、などと言うのかもしれません。航空史の充実のためにはけちくさい根性は捨てろとでも言いたいのでしょう。

 曳かれ者のざれ歌のようで、以上のようなことは書きたくなかったのですが、事前了承を求められたのかという質問が来ましたので、敢て綴りました。でも、これは佐伯個人のことではなく、インターネット航空雑誌ヒコーキ雲に情報を提供してくださる人、閲覧してくださる人すべての問題であり、これからもインターネットと雑誌の関係でたびたび起きうる事だろうと予想しています。

 インターネット航空雑誌ヒコーキ雲にもⒸ があるのですが、法的云々の前にモラルの問題として、皆さんに知っておいて頂きたいのです。ご意見をお聞かせください。

 

日本陸海軍の翼のかけら投稿欄 03/04投稿から

 今朝の日替わりメモ376番で杉山さん提供の写真が航空ファンに載ったことをとりあげました。これは所有者の杉山さんが文林堂へ提供されたことをどうのこうと言っているのではありません。
 MさんもFさんもインターネット航空雑誌ヒコーキ雲を見ているのですから、事前に一言連絡するとか、誌上で断るとかの配慮が欲しかったということです。モラルの問題です。
 Fさんは、ここの掲示板でも問題の写真について私とやりとりしているのですから、新事実がわかった段階でヒコーキ雲へ発表してほしかったと思います。

 日本陸海軍の翼のかけらにしろヒコーキ雲にしろバックにはたくさんの人間がいるのですから、それを無視する対応をしている間は、航空雑誌の販売は伸びないでしょう。  佐伯邦昭

 


2 文林堂からの回答 2

 残念ながら佐伯宛の個人メール扱いで、発表は社則により禁じられているそうです。

 そこで、かなりの長文ですが誤解を恐れずに要約してみます。

●  第一点は、版権所有者が持ち込んだ写真だから著作権上の問題は一切発生しないこと、

●  第二点は、執筆者田村俊夫さんが、インターネット航空雑誌ヒコーキ雲を参考文献とは考えていないと言っているのでモラルの問題も発生しないこと、

 従って、なぜこのように問題にされるのか不思議であるという見解です。


3 文林堂の回答への考え方 3

● 第一点については著作権侵害は問いません しかし‥

 第一点については、私は、写真を提供した杉山弘一さんを傷つけたくないので、はじめから著作権を問題 にしておりません。
 しかし、 下記4の皆さんの感想から分かるとおり、双方を読み比べてみて、多くの人が盗作だパクリだと感じてしまうのは疑いのないところです。

 1枚や2枚ならともかく、多少の新事実や角度の変わった解説がついているにしても同じものが全15枚中10枚も載っているわけですから 、盗作とまでは言えないにしても節度のない行為ではあります。常識人なら一言付け加えるでしょうね。

 筆者は、「印刷物に未発表の輸送機の事故写真を多く集めてみた」と断っています。それは何故でしょうか?
 一種のスクープ気取りとともに、印刷物以外のメディア ― 例えばインターネット上で発表されたものでも印刷物に載っていなければ未発表扱いであるという意味が込められているような気がしてなりません。第二点の田村俊夫さんの言葉と符合します。(もし、法的に著作権を争うとなれば、この文章が問題になりましょう。私は争いませんが‥)


● 第二点については、ほんとうにモラルの問題がないのか‥

  田村俊夫さんは、私などからすれば雲上人みたいな勉強家、読書家であり毎月数誌に執筆している学識豊なジャーナリストであります。

 今回の写真の中のひとつ、三菱式21型輸送機J-BEOXの事故写真は、その人をもってしても「びっくりさせられた」と 書かせるほどの凄いものです。ですから「びっくりさせられた」は、読者が受けるインパクトを計算しての感嘆符であり、結構なことだと思います。

 ただ、私はこの言葉が既に1年以上前に発せられていることに苦笑を禁じ得ません。J-BEOXが箱根号であり三菱キ-21重爆の改造機らしいことを突き止めるまでの苦労の過程で、掲示板に発せられています。読んだ人も多いと思います。

 「びっくりさせられた」というのを何度語られようとそれは自由ですが、写真の謎を突き止めた時にアドバイスを頂いた方から 「インターネット航空雑誌ヒコーキ雲を参考文献とは考えていない」と言われますと、へえっ? と苦笑いせざるを得ないわけであります。随分、見降ろされている訳で‥。

 なお、新たな事実として、官報から無線局の認可日付を調べて民間使用の時期などをより鮮明にされていることは認めます。これによって航空史の空白が埋められていきます。その意味で今回の「日本民間輸送機の事故写真」記事の価値は高く評価します。


● 航空史家は、努力した先人に謙虚でありたい‥ 

  もうひとつ、ダグラスDC-2阿蘇号についてですが、「日本の登録記号を付けたDC-2は8機にとどまった。」と書いておられます。その断定の根拠をどこに求められたのか教えてほしいです。

 もちろん8機というのは、当方の調査研究コーナー66「中島におけるダグラスDC-2の生産状況表」と一致します。それは、私が調べ上げたものではなく、表の後に(上甲昇氏資料による) と記しているように、上甲昇さんの研究成果を頂いたものです。
 別の資料では6機というのもあり、DC-2を含めてJ記号問題はまだまだ霧に包まれています。その中で、上甲さんは、可能な限りの資料を渉猟された上で生存者から詳細な聞き取りを行い、その裏付けのもとで発表された数値が8機であります。以後これを上回る研究成果は出ていないと思われるし、なお研究の必要な分野でもあります。

  田村俊夫さんが、上甲さんの原著(JAHS CONTRAIL連載)からとられたのか、二次的に引用したインターネット航空雑誌ヒコーキ雲からとられたのかは知りません。
 いずれにしても第二次大戦中及びそれ以前の航空史は、わずかに残る実物遺品を除いては殆ど全てを文献に頼らなければなりません。だからこそ、努力して書き残した人のことを忘れてはいけないと思うし、そこのところに優れて謙虚にならなければいけないと思うのです。

 

 最後に、Wikipedia参考文献の項の「最近はインターネットの普及により、参考にしたサイトURLが記される事が増えている」を紹介しておきます。文林堂は、その必要はないと言い切っています。具体的には文林堂に聞いてみてください。

    


4 皆さんのご意見 (到着順 黄色は佐伯のコメント)  4

@ Aさんから 

 航空ファンに載った写真を見てどっかで見たことあるなーと感じ、確かヒコーキ雲だったなと思いましたが提供者の名前があったので佐伯さんの了解済みなのだと思っておりました。

 編集者の認識不足と思いますが、佐伯さんも述べられて居られるようにインターネットの即時性に月刊誌が敵うはずも無く、後追いであれば何らかの断りと更に新しい切り口が必要です。編集者もヒコーキ雲を見ているのではないかと想像しますが

 更に提供者もインターネットに載っている事を知らせてあげたのでしょうか?

 知らせたのに? 大体インターネットに載っていると記しても何ら不利益は無いでしょうに。やはり見下しているとしたらヒコーキ雲の実力(含バックグラウンド)を分かっていないのでしょう。

 航空ファンに関しては小生も以前質問し、回答を求めたことがありましたが、完全に無視されました。国内航空誌ではBESTと思い購入していますが残念です。

 

A Bさんから

 佐伯さんと文林堂は、良い関係、密接な関係にあるかと思っていましたので意外でした。ちょっと嫌な感じです。若手編集者の勇み足であって欲しいです。

 (航空ファンからは飛燕の写真の無償掲載許可などかなり便宜を図って貰っています。それはお互いに航空史の空白を埋めていくという共通認識があるからだ思っています。それだけに私も残念です。)

 

B Cさんから

 いきさつははっきり致しませんがまず佐伯さんが 杉山さんから写真の提供を受けてこれについてお調べになってヒコーキ雲に発表されこれにFさんが意見を述べられて再度佐伯さんが修正を加えられて発表と言うので宜しいのでしょうか

 (すべてについてということではありません。メールと杉山さんの掲示板でのやりとりがあり、それによって修正を加えたのは事実です。最終発表後Fさんのお墨付きを頂いたわけではありませんが、さりとて異論も頂いてはおりません。)

 もしそうだとすれば今回の航空ファンの記事はパクリと言われても仕方がないのではないでしょうかFさんとのやりとりはこれもこちらではわかりませんがいつも誌上見るFさんの資料に対する態度とはずいぶん違いますね 

 ネット上ではソースの記載が全くなく美味しいところをいきなりいただきというのは良くあり問題となっていますが航空ファンともあろうものが断りなしというのは全く信じられませんこの間のDC-3の写真ではちゃんとヒコーキ雲の名前を入れていましたから、あるいは今回編集者さんは既出のものだと思わなかったのかもしれませんね.

 

C Dさんから

 今月の航空ファンは見ていないのでなんともいえませんが、画像については元の所有者が提供しているということなので、その掲載について事前に佐伯さんに一言あるなしというのは、あまり関係ないと思います。

 文章については、どのくらいの類似があるのかはわかりませんので何ともいえません。ご立腹されていることはわかりますが、ハタメには「要は仁義を欠いたってことだな」という感想です。

 発表したネタが他のメディアにパクられるというのは、インターネットの普及以前から珍しい話ではありません。テレビ、新聞、雑誌などでも日常茶飯事です。もちろんあいさつなしにパクられれば愉快ではありませんが、盗作や無断転用でもない限りは問題にはされません。

 せいぜい佐伯さんのおっしゃるマナーかモラル、個人的には単に仁義の問題と考えています。公共の場でのマナー違反は白い目で見られますが、警察が出てくるほどでもない。あまり面白くはないと思いますが、そういう割り切りです 。

(おっしゃることはよくわかります。 1年半前にインターネットに載ったことを知っていて、初発表のごとく振舞うのは仁義を知らない三した奴と言われても仕方がないですね。)

 

D Eさんから 

 皆様の意見を聞かれるまでの事はないと思います。逆も真なりではと思っています。インターネットに発表された記事は不特定多数に既に見られており、雑誌は購入した読者という対象の大きさの違いで、雑誌社はあえて承諾をしなくともと考えているような気がします。

 マナーの問題として言わしていただければ、一言メールで断れば済むことで、そのくらいの事はして欲しいものです。

 (同感です)

 ただ今回のように写真の提供者に直接、雑誌社から連絡があり、その方が応じた場合は微妙になります。先に発表した方がヒコーキ雲で、その記事を見て雑誌社が直接取材された場合は取材元が明記されていた場合はヒコーキ雲からの転載になるかなんとも言えない様な気がします。

 新聞や雑誌からのインターネットへの掲載は売り物になっている商品の一部と言う解釈ではありませんか?  ヒコーキ雲は誰でも無料でアクセスできるので商品には当たらないと思います。その辺の差があるように思いますが如何でしょう?

(商品とは思っていませんが、トップページで無断掲載を禁じているのは、一応原作者著作権を尊重しているつもりです。ただ所有者が他へ持込むことを止めることはできず、一言連絡するかどうかのマナーの問題です。)

 

E Gさんから

 私なりに佐伯さんの気持ちは分かりますが、しかし客観情勢は佐伯さんへの批判を多く感じます。なにをもって感じるかは私の知人友人の反応です。私も従来から折にふれ生意気なアドバイスを佐伯さんには進呈してきました。 

 それは今までの佐伯さんの反権力、対プロ本職対抗意識などは一般マニアの喝采もあれば関係者の憎悪も受けます。私は双方に知人友人がおります。そんな中にはヒコーキ雲の佐伯さんの主張やコメントは一切無視でただのデータバンク活用だけの人たちも知ってます。 

 私は佐伯さんの個性を尊重もしてますが、いたずらに敵を作るのは佐伯さんにとっては不幸だと思います。佐伯さんが批判精神を大事にするのはいいのですが、失礼ながらその過激表現とそのアンマッチ(それはある批判をした場合に自らも知らずに同類をしてる?)また価値観は各人違うことも認識が必要かと・・・。

 ヒコーキ雲の一方通行表示は2チャンネルの無法地帯にならない代わりにどうしても佐伯色が強くなります。以上生意気なことを書いて申し訳ありません。意見募集中なので・・・。

 (ありがとうございます。十分に心するつもりです。今後もご指導ください。)


中間公式回答
 ここで、意見を頂いた方にお礼を申し上げるついでに、佐伯の次のような考え方を中間的な公式回答としてそれぞれに返信しました。

中間公式回答

 或る方の文中に「マナーの問題として言わしていただければ一言メールで断れば済むことで、そのくらいの事はして欲しいものです。」とありましたが、私の胸中はこれに尽きます。
 もちろん、多くの方の文中に「パクリ」というのが散見され、それはこれからの出版とインターネットの関係に大きく影響してくるものでありますが、私はマナーをわきまえさえすれば、ちょっとした手数をかけることで世の中は平穏に行くという性善説に立ちます。
 

 今回は、三つの調査研究コーナーの写真を発表するに当たって随分苦労しました。そのことが下敷きにあります。科学であろうと芸術であろうと苦労した作品に対する愛着というものは、同じものが他に掲載された時に発生する人間的な怒りと表裏一体であると思います。

 個人的なことと言われればそれまでですが、それだけに事前に一言断りがほしかったと日替わりメモに書いているわけです。

 新しい事実を含めて雑誌媒体で大きく発表されることに反対したり妨害したりする理由は全くないからです。

  なお、当問題をこのまま継続すると、相手方の釈明や反論がないままに一方的に進行してしまいますので、航空ファン編集長さんには事態の打開をはかる工夫をしていただくよう要請しています。

 

F Hさんから

 「法律云々の前にモラルの問題」という点で同感です。やはり人様の写真等を使用する以上は一言断りを入れておくのが最低限の礼儀ではないかと思います。

 一言、断りさえ戴ければ同じ飛行機好きの同士の事ですから不快の念を抱く事も無く、むしろ嬉しく思うのではないでしょうか。少なくとも私であればそう思います。ですので今日びの事ですからメール一通でも良いから一言断りを入れて貰えたら何ら問題は無いと思います。是非その様にして戴きたいですね。歴史のある航空雑誌なら尚更です。

(同感です)

 

G Iさんから 

 今回の件につきましては、私としましては何がどうであるというような意見を持てるほど知識を持っていませんので、私が、人の心情でどう思うのか、子供に教えるならどう言うのか程度の意見となってしまう事を、ご了承下さい。

 私は思うのですが、人のものを借りる時は、「貸して下さい」とちゃんと伝える事です。昨今は、大切なお金ですら、人に関わる事無く道路脇ですら借りられる時代ですが、人に貸して欲しかったらどうしてそれが必要なのかをきちんと伝えて、了承を得て借りる事が常識なのでは無いでしょうか?

 少なくとも、子供にはそう教えます。 

 消しゴム忘れたら、忘れたからといって、勝手に友達の筆箱から取っていいものでは無いし、「俺の方が勉強できるんだから、勉強できないお前が消しゴムもってるより、勉強できる俺が消しゴムを持って無いことの方が重要だ」なんて意見は通らないのが常識でしょう。すっかり、やさしく叱らなくなった先生方でも、叱るはずです。

 インターネット航空雑誌ヒコーキ雲のTOPページには、きちんと「勝手に使わないで下さい」と書いてあるんです。しかし、「文章、記事内容まで勝手に使わないでとは、書いて無いでしょう」と言うのかも知れません。

 知識というものは、持ち出す、持ち出さないに関わらず、読み聞きすれば勝手に脳に記憶されて、自分の知識になってしまうものなのでしょうが、どうも私には、「佐伯 さんのサイトはただの趣味、こちらはビジネス、ホームページは誰にでも作れても、出版社の人間には誰でもなれない厳しい世界で、そこで勤めているエリートには、勝手に使える権利があって、あなたは勝手に趣味のサイトで公表しているだけで、購読させている訳でもないでしょう。あなたの見解が世に広く伝えてもらえただけでも感謝しなさい。」と言わんばかりな気がしてしかたないのです。

(一時の航空情報にその気があって指摘し続けたのはご承知のとおりです。今は随分かわりました。航空ファンにはそんなことはないと信じていますが。)

 なんだか、ドラマでよくある著名な大学教授が、生徒のレポートを勝手に使って発表するような場面が思い浮かんで仕方ないのです。

 我らは、世に意見する出版社、あなた方は、我ら出版社より知識を得ているただの平民、それが証拠に我らが出版物は、平民がありがたい知識だと金銭を提供して、本屋まで足を運び情報を入手し、図書館ですら有益な情報書物と見解し、置いてあるんだぞ。と放送局や新聞社等のマスコミと同じように、特権階級のように考えている気がしてなりません。

 どうせ裁判起こされる訳でも無いだろうし…と考えてるのか、そういえば最近もどこぞの放送局やら新聞社も勝手に引用して記事作って謝罪していた事があったような記憶もあります。

 子供っぽい意見ですみませんでした。でも、いつも楽しみに拝読させて頂いているので、何か回答しなければと思い回答させて頂きました。

 

H Jさんから (上記杉山さんの掲示板への投稿)

 まず第一に、この記事ってモラルうんぬんではなく、引用を明示ししない盗用の可能性があるということです。佐伯氏は関係者に対して内容証明なりメールで直接抗議を行う必要がありますが、それをしないのは何故でしょうか?

 次に気になったのは、杉山さんが写真を提供した経緯です。ヒコーキ雲と同じ写真を提供したというなら、一言佐伯氏に伝えてもよかったのではないでしょうか。佐伯氏としてもどうこういいたい(でも言えない)というところだと思います。

 以上2点、佐伯氏の焦点をそらした内容に不自然さを感じました。

 (法律上の盗用でなくあくまでマナーの範疇で考えています。)

3つ目
>その後調査された事柄をインターネット航空雑誌ヒコーキ雲へ知らせずに航空ファンへ書かれたご心境についてだけはお伺いしたいものであります。

 基本的に伝える義務はないと思います。
 もし伝えたら、発売前の記事の内容を日替わりメモで公開、なんて可能性もありますし、佐伯氏としては屈辱的かもしれませんが、信用がないと思われているのはご自身の不徳のいたすところではと感じます。

 最後に一つ
>バックにはたくさんの人間がいるのですから

 そういう脅しめいた表現は避けるべきではないかと思います。頭にきているのはわかりますが、更新のボタンを押す前に一息いれるべきか、と。

 (ありがとうございます。肝に銘じます。)

 

I Kさんから

 法的な権利はさておき、道義上大いに責任があると思います。権利うんぬんより、もっと大切なことではないかと思います。持ち込まれたのか、提出を依頼されたのか判りませんが、写真等が発表済であることを知った時点で、出版社も提供者もこの責任から免れることはできないでしょう。

 どうも最近の出版社は、読者やマニアの投稿などに影響されすぎ(迎合しすぎ)ではないか、という感じがします。自らもっと汗をかいて、素人に負けないページ作りをしてほしいものです。

 

J Lさんから

 今回の航空誌のやり方は私は間違っていると思います。確かに佐伯 さんのHPの貴重な情報とは違うどうでもいいようなHPも数多くあり、どうでもいいような情報を勝手に利用している人達も数多くいると思います。最低、無断使用したとしても一言、誰々の何々を引用等の添え書きするのがマナーだと思います。

 しかし、今回はあの有名な航空雑誌がやったのはとても残念に思います。もう一度一人ひとりがモラルの大切さを考えてもらいたいですね。

 

K Nさんから

 私が日ごろ感じていることを申し上げます。
 ネットといっても著作権の問題は切っても切れないと思います。したがっていかにネットで公表しても元の製作者より著作権を購入した(移管を受けた)場合以外著作権は元の製作者にあると思います。したがって元の著作権の所有者が何をしようとネットで公開した者は特に発言の権利は持っていないと考えます。

 (その通りです)

 この著作権ですが、昔より文章を書く場合(小説、技術論文にかかわらず)参考または引用した文献はその作者に断ることなく 、文章中または末尾等に文献名称等が分かる表記をすればよいことになっています。

 したがってネット社会においても“そのまま”あるいは“参考”の場合もどこかにその出典を表記すれば、事前に了解を得る必要はないと考えます。これは文献であれネットであれ一度公に公表したものは著作権は変化しませんが情報としては共有のものとなったと考えてよいと思います。

 (参考文献として表示されれば文句はありません。因みに、私は調査研究コーナー66の末尾に次の表を掲げています。特に言いたいのはDC-2や三菱MCについては上甲 昇さんの研究に負うところが非常に多く、これなくしては今回の解説も書き得なかったのではないかということです。それに触れないのは上甲さんに対しても礼を失していると思っています。)

参考文献 

上甲 昇著 日本航空輸送史 ダグラスDC-2編 JAHS CONTRAIL
野沢 正編 日本航空機総集 中島篇 出版協同社 1963年初版 1983年改訂新版
航空機関士宮本晃男編   DOUGLAS DC-3 旅客飛行機取扱解説 育成社昭和15年初版 18年再版
伊藤隆吉著 飛行機とその設計 工業図書株式会社 昭和16年刊
川村 黎著 科学新書23 航空の物理 河出書房 昭和16年刊
Douglas J. Ingells著  The PLANE that changed the WORLD Aero Publishes 1966年刊
半田邦夫著 航空機生産工学 オフイスHANS 2002年刊
清水 啓著 戦争とアルミニュウム カロス出版 2002年刊
その他 米軍C-47/R4Dマニュアル 全日空整備教程 航空雑誌別冊 日本におけるダグラスDC-3研究技術編(現在休止中)

 

L Oさんから

 トップに「掲載している写真等の著作権は出展者に帰属もしくは代理権があります。無断使用は固くお断りします。 」と書いてあるのですから、無断使用は、泥棒と同じことで問題外です。

 無断使用といえば、私には過去に、苦い経験があります。私がある書物に書いたことを、さる公務員のしかるべき先生が、そっくり利用し、プレゼンテーションをしてしまったのです。たまたま私が聴講していましたから、後日、私の掲載誌のコピーとプレゼンテーションの内容を対比して示し、完全な盗用である旨指摘しましたら、謙虚に認め、謝罪をしてきました。

 その世界では名の通った高名な先生でしたので、事を荒立てることなく「以後出所を明記してくださいね」。で終わりにしたつもりでしたが、実はそれからが厄介でした。

 何と、私のオリジナルの方が、高名な先生の盗作と見られてしまうケースが出てきたのです。その盗作プレゼンテーションを受けて、「なるほど」と思った人が、別の機会に私のを見て、「無断盗用だ!」となってしまったのです。その都度、私の記事がいつで、先生のはいつ、盗作したのは先生の方、と言えばわかって頂けるのですが、その説明の機会がない人は、「私が盗用」と思っているに違いありません。極めて不愉快です。

 この教訓は「情けは無用、公開の場で謝罪させる」でした。これに尽きます。

 

M Pさんから

 事前事後になんの連絡もなかったというのは、寂しいですね。心情お察しします。メディア論の問題などではなく、人付き合いのうえでのマナーの問題だと思います。

 また、もしも佐伯さん独自の見解や著述が誌面に無断で転載されているとしたら、それは佐伯さんの権利を侵害していることになります。が、航空ファン誌が手元にないので、その辺りのことはわかりません。

 

N Qさんから 

 昨今のインターネットの発達状況とは反対に、紙の媒体は即時性の面と修正が出来ない点において不利となり衰退しているのでしょう。

 また、広く浅くの雑誌と比べ、ネットは利益を省みずに自分の好きなことだけを追求すれば良いので独自研究をされている方にとっては最適の媒体ですし、研究者の持ちうる知識量によってはその一分野の情報量は誌面が限られた雑誌には太刀打ちできないほどです。

 ということで、雑誌においてはこれからネットを参照することが多くなってくると思いますが、誰でも見られる状態の「無償の」独自研究を本屋で有償によって提供し、そして雑誌社のみが利益を得るという構図では到底誰も納得しないでしょう。

 しかしながら、ネットに公開しているということは、そもそもが無償での提供を前提としたものであり、誰かに見てもらうことも含めて広く趣味の範疇に含まれると思いますし 、無償であるがゆえに情報の真偽は良心に任されているものと解釈しています。

  以上のことから、 仮に私のHPの情報がもし雑誌に掲載されるようなことがあったときには事前連絡があればもちろん嬉しいですが、掲載ページ末尾の参考資料のところに私のHPの名前とURLでも載せてくれれば宣伝料もうけたとでも考えて納得できるかな、という気持ちもあります。

 (同感です)

 ただし、論文やレポートを鬼のように書いた身からすれば、参考資料のところに「少しでも参考にした」ページを書かないのは文章の完成度の点から許せませんが。

 レポートや論文というのはどれだけ多くの文献を参照したかによって評価が決まりますから。と言われるのは理系大学だけでしょうか?雑誌の記事は多くが孫引きの少なさを誇るような?参考文献の数で、本当に正しい情報なのか不安になります。また、WEBページを参考にしたかしないか、本当のところは執筆者しかわからないのでその良心も求めたいところです。

 

O Rさんから

 とても難しい問題ですね。
 佐伯さんの仰るとおり、出版とネットとの関係はこれからどんどん深まっていくと思われますが、「ネット世界」がまだ若く、ネットに関するルールや常識が確立されてないのが現実です。しばらくはこうした問題が次々に起きてくるでしょう。

 以前ヒコーキ(軍用)の写真集を見て驚きました。掲載写真のかなりの数がネットから取り込んだものだったのです。カストリ的出版社だったからできたようなものですが、今回は文林堂ですからね。ジャーナリストとしてのプライドをもって仕事をしてもらいたいものです。

 
 
心配していることは、佐伯さんが気力を失い、ホームページを閉鎖してしまうことですね。多くの読者はそれを心配していると思います。

 (ありがとうございます。これほどの激励を頂いて閉鎖などといったら罰が当たります。)


 

P Sさんから

 Webの世界では、好悪に係わらず、引用・転用が横行しています。書籍・雑誌はもとより、他サイト/他ページからもです。

 引用元を書いていないことがほとんどで、佐伯さんがおっしゃっているように著作権云々よりも、モラルの問題なのですが、それを問題視しなかった(できなかったことが主因でしょうが)ことで、Webの情報は拡充してきました。 

 今までは、書籍・雑誌をWebが引用する形でしたが、それの逆があってもよいと思っています。そういう立場にまで、Web世界が成長してきたことの証でしょう。

 発表対象やその目的、適切な分野は違えど、メディアという畳の上では、同じですから、目くじらを立てるべきではないでしょう・・・・・・・・・・・

  ただ、今回は、同じなのは杉山さんの写真だけですから、佐伯さんの著作(Webページ)が侵されているわけではないのでも、と感じています。

(著者は否定しているようですが、調査研究コーナーの解説が頭にあっての執筆であろうと考えています。どうか読み比べてみてください。)

 

Q Wさんから

 航空ファン4月号の該当記事を見ました。法的以前の、モラルの無い行動をしてしまったなと思い、残念です。
 
記事の内容から見て、事前に佐伯さんにお知らせするか、最低限、掲載したことを、事後でも知らせる行為が必要だったと思います。(それは、出版物出版物、 出版物HP、 HPHPでも 同じ事と思います。)

 航空ファン側の、今回の行動をどういう考えで行なったのか知りたいところですね。

 以前は「航空ファン」、「航空情報」、「航空ジャーナル」、「エアワールド」の4つの月刊誌がしのぎを削っていた時代があったのですが(もちろん今も昔もその他にも航空雑誌がありますが)、今は「航空ファン」が第1の地位を占めるに至っていると思います。このこと自体はすばらしいこととも思うものですが、逆に驕りがでてきたのでしょうか。

 1番手にいるからこそ、出版社として品格のある存在になってほしいものです。

 (同感です)



R Xさんから

 いまどき執筆にも編集にもネットを使わない人は、たぶんいないと思うのですが、その割にサイトアドレスを出典として目にすることは少ない気がします。

 想像ですが、お金で売る商業出版物のタネが、無料で誰にも見られるネットだと権威に関わるとでも思うのではないでしょうか。

 今は読者の多くもネットを見て豊富な情報を持っているのに、それを誤魔化せると考えているとしたら不思議です。象牙の塔みたいですね。

 (同感です)

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